平成29年第2回定例会(2017年6月9日)議事録より
◆6番(大沢純一君)
先月30日、2017年度版自殺対策白書が政府閣議決定されました。警察庁の自殺統計によれば、2003年に3万4,427人とピークを迎えた我が国の自殺者数は、2010年以降は減少を続け、2016年に至るこの5年間は連続して3万人を下回っているということが、今回の白書に記されております。その結果、2016年の自殺者数は2万1,897人で、22年ぶりに2万2,000人を下回ったことが白書の中で報告されました。
自殺者数の減少に伴い、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺率も下がっており、警察庁の自殺統計では、2003年の27.0をピークに、2012年以降低下し、2016年には17.3となっております。
これについては、同白書においても自殺対策基本法の施行以来、内閣府において自殺総合対策大綱を2度策定し、これに沿ったさまざまな取り組みが進められてきた結果、自殺者数が2万4,000人まで減少するなど、着実に成果を出してきたと述べられているように、国による自殺対策が確実に結果を出したことが、この自殺者数の減少としてあらわれております。ここでまずは、この対策の大もとである自殺対策基本法について、市長の見解を伺います。
◎市長(清水庄平君)
自殺対策についてであります。
人の命は何ものにもかえがたいものであります。また、自殺は本人にとって悲劇であるだけでなく、家族や周りの人々に大きな悲しみをもたらし、社会全体にとっても大きな損失であります。このような悲劇を積み重ねないよう、国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業等が緊密な連携を図り、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すことが重要と考えております。
◆6番(大沢純一君)
先ほど、市長のほうから自殺対策基本法に対する見解を伺いました。今後、本市として自殺対策計画を策定していくに当たり、まず大もとの基本計画に対する認識を伺ったわけです。今、市長御答弁いただいたとおり、とにかくこの自殺というのは、本人だけでなく周りも悲しみが連鎖する、それを絶対にとめていかなくちゃいけないという、その評価のもとに進めていかれることを最初にお願いしたいと思います。
今後の計画策定に当たり、まずは本市、立川市の実態を整理したいと思います。
初めに、本市の自殺のハイリスクグループ、つまり自殺者の多い属性、性別、年代、職業というものについてお示しください。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
本市の自殺のハイリスクグループでございますが、自殺総合対策推進センターの平成21年から27年の自殺者数をまとめた資料によりますと、7年間の本市の自殺者数、男性が183人、女性78人、合計261人で、男女比は、男性7割、女性3割となっております。
年代別の割合は、20歳未満1.9%、20歳代11.1%、30歳代18.4%、40歳代19.9%、50歳代19.2%、60歳代18.0%、70歳代6.5%、80歳以上5.0%で、30歳代から60歳代が比較的多くなっております。
職業別の割合は、自営業6.1%、勤め人31.4%、学生・生徒4.2%、主婦7.7%、失業者3.8%、年金等生活者14.6%、その他無職者29.9%、不詳2.2%となっておりまして、勤め人と無職者の割合が多くなっております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
次に、本市と他市の比較ということについて伺います。
本当は、多摩26市の中でハイリスクグループの比較などについて伺いたかったんですけれども、これは大変な作業になることも予想されましたので、現在集計できている範囲で比較できること、これについて御説明ください。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
先ほどと同様の資料で東京都との比較になりますけれども、都全体の自殺者数は、男性1万3,080人、女性6,483人、合計1万9,563人で、男女比は、男性67.0%、女性33.0%となっており、本市は都と同様の状況となっております。
年代別の割合は、70歳代で都が10.8%に対し、本市は6.5%と4.3ポイント低く、50歳代では、都16.4%に対し、本市は19.2%と2.8ポイント高くなっております。
職業別の割合では、勤め人が都28.5%に対し、本市は31.4%で2.9ポイント高く、無職者は、都31.2%に対し、本市は29.9%と1.3ポイント低くなっているところでございます。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
ただいま本市の自殺者の特徴について伺いました。
今回の改正自殺対策基本法では、市町村に自殺対策計画の策定義務が示されております。
そこで、12月議会でこの計画の検討状況を伺ったところ、東京都の計画策定状況を踏まえて本市の計画を行ってまいりますという答弁でした。
これについては、改正法の中で自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画並びに地域の実情を勘案して自殺対策計画を定めると示されておりますので、この地域の実情、つまり本市の実情を踏まえて今から方向性を考えていってほしい旨を12月議会では要望させていただきました。
先ほどのように、本市として自殺が多い傾向、東京都との比較を今していただきましたけれども、その中でもやはりいろんな本市の特徴が出てきていたというふうに思います。
このような中で、改めて現在の自殺対策計画の検討状況、これをお示しください。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
市の計画の検討状況でございますが、自殺対策につきましては、国が新たな自殺対策大綱を本年夏ごろ決定する予定で、東京都はこの大綱を受けて、自殺対策計画を策定すると聞いてございます。
本市の自殺対策計画につきましては、平成30年度以降に東京都地域自殺対策推進センターの支援を受けながら策定する予定でございます。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
現在のところ進んでいないという部分もありまして、これは30年度以降という話がありましたけれども、30年度にこれをやる予定になっているかと思いますけれども、その上で、今回の市町村における自殺対策計画というのは、策定に当たってこの計画自体は、本当に国からの支援がまさに至れり尽くせりという、こういうような状況なんですね。
どういうことかと申しますと、自殺対策の政策について一から市町村で検討する必要はない、こういうことになっております。国から政策パッケージというのが提示されまして、それを市町村で進めていくということになります。
これは事前に通告していませんけれども、この政策パッケージについては、どんなものか承知されていますでしょうか。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
東京都で地域自殺対策推進センターが本年4月に立ち上がりましたので、今後そこのセンターを通じて、市町村にもそのような政策パッケージ、あるいは自殺実態のプロファイル等が示されるものと聞いております。現時点では、具体については聞いてございません。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
この政策パッケージというのは、国が各市町村の自殺統計データを分析しまして、その上で地域の特性も分析して、それに合わせて政策をまとめたもの、こういうものになっています。これを国から各市町村に提示してくれるという、こういうことになっているわけなんですね。
これで政策としては、全部そろっているので、この政策を今度は、このパッケージをもとに計画を進めていくという、この計画の部分がこの後たしか市町村で行う、こういうことになるわけです。
でも、この部分については既に公開されておりまして、この政策パッケージが何だということについては既に公開されていて、これは別に一生懸命調べなくちゃわからないということではなくて、調べればすぐにでもわかる情報であります。
12月議会で御答弁いただいたときに、東京都の計画を待つ、計画策定を待つというのも一方ではわかるけれども、今からできることを始めておいてくださいとそのときに言ったのは、一つはこういう情報を今からしっかり認識しておいてほしいという、こういうことなんです。
さらに申し上げると、政策パッケージのことを御認識なければ、この中身について、この地域特性として人口5万人未満の農山村部、5万人から50万人未満の中都市部、50万人以上の大都市部という、そういうふうに三つに分類されていることも恐らく御存じないのかというふうに思います。
ですが、実はこれが市町村の計画策定を行うに当たってとても重要なことなんですね。今回の自殺対策をなぜ市町村で行うかといえば、冒頭に御答弁いただいたとおり、地域ごとに自殺者の傾向が違う、このためなんです。
自殺対策基本法で、さらに言うと自殺対策総合大綱のもと、総合的な自殺対策というのは、これは有効性が認められております。この有効性についての研究は、日本は世界を牽引しているという、こういう状況でもあります。
では、どういう形でこれが有効性を認められたのかというと、人口5万人以下、先ほどの区分である農山村部では効果が検証されたとされております。しかし、それ以上の人口区分のところでは、実は効果が検証できていないという、こういう状況が一方ではあります。自殺は減ってきたのだけれども、どのような政策に効果があったのか、人口5万人以上の都市が検証できずにいる。こういうような実態が今あるわけです。
5万人という単位、さらにこの農山村部というところでは、対策に効果が実証されている。ですから、今度はこれを都市部地域でどうやって政策を実施し、この有効性を進めていくのか。そのためには、今回、国で一括ではできないから、だから市町村という現場でそれをそれぞれの地域の実情を踏まえた上で政策を行うということで、この自殺対策の有効性を検証していくという、このために今回の自殺対策計画が市町村の策定義務になったわけなんですね。
そういう経緯があって、その経緯のもとに今回この計画をつくっていくわけですから、ここで大切なのは、市町村の5万人というこの区分なんです。
この政策パッケージでその実施に当たっては、政策パッケージの中にこうあるんですけれども、
人口規模を1地区5万人程度に細分化し、地区ごとに総合的介入を行うことで、農山村部と同じく、自殺対策の介入効果が期待できる。
--こういうふうにあります。つまり、立川市、人口18万の本市では、自殺対策を市一まとめにやるんじゃなくて、5万人程度に細分化して実施するという、こういうことがこのパッケージの中で求められているわけなんですね。
そうであれば、本市、これを今5万人単位で例えば4区分、18万ですからおおよそ4区分にしてやるのか。それとも今、介護とか福祉の分野で6圏域という、こういうことをやっておりますけれども、この6圏域を、自殺対策もこの圏域で当てはめて進めていくのか。こういったことだけでも今から大きな課題として認識できると思います。
今、地域包括ケアの検討も進んでいて、これもこの6圏域で進めていくという、こういう方向だというふうに理解しております。
これに、この自殺対策を同じ圏域で重ねていくとしたら、もうこれは高齢者の問題だけではなくなるわけなんですね。ですから、本当にこれ「我が事・丸ごと」という考えが今、示されておりまして、この8月中、先ほど大綱、夏までというようにありましたけれども、この大綱は大体8月中に示される予定であると私は聞いております。
この新しい自殺総合対策大綱の中でも「我が事・丸ごと」というこの考えが示されることになると思うんですけれども、そういったことをこの圏域の問題、これも含めて、そういったことが果たして東京都の自殺対策の計画を待ってからやるということでいいのだろうかと考えるんですけれども、これについて改めてお考えを伺います。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
計画の策定については、今の時点では、東京都の計画も見ながら市の計画を進めてまいりたいと思っております。
ただ、議員からお話がありましたような地域の実態というものは把握していかなければいけないと思ってございますし、本年4月に立ち上がりました東京都の地域自殺対策推進センターから計画の策定支援も得られる予定になっておりますし、また情報の収集でありますとか他団体の情報あるいは連絡調整などの役割もしていただけるというふうに聞いてございますので、そういった支援も受けながら、計画の策定に向けてできる部分は進めていきたいと思っておりますし、庁内の連携した取り組みというのも必要だというふうに考えてございます。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
さらに申し上げると、この大綱の発表の後に示される方針としては、東京都との計画の策定状況を見てとありましたけれども、この都道府県というのは大体啓発事業が主だということで、市町村というのは対人事業、具体的に人に対してどういうふうにやっていくのか、こういった事業になる。こういう予定だというふうにも私も関係者から聞いております。そういうことも踏まえて、今御答弁がありましたけれども、今からまず情報収集、それをしっかり迅速に行っていただいて、この計画の準備を進めていくことを改めて求めたいと思います。
先ほどの「我が事・丸ごと」の考えでは、包括的な生きる支援ということで、生活困窮者自立支援などとの連携が見直される、大綱の総論の中に記される、こういった予定にもなっております。
昨年、平成28年2月の定例会で、緑たちかわの大沢豊議員の質問の中で、本市の生活困窮者自立支援に相談に来る方の年齢層について、大体40代から60代が多いという、こういう答弁がございました。
先ほど、本市のハイリスクグループについても確認しましたけれども、それも大体30代から60代、まさにこの生活困窮者自立支援に相談に来る層と重なるわけなんですね。
これまで大沢豊議員が生活困窮者自立支援事業、この立川社会福祉協議会でやっていることに対して、生活保護を担当する市役所の部署と自立支援の窓口が物理的に離れている、そういったことを今まで問題にされてまいりました。
改正された自殺対策基本法第2条5項の中では、自殺対策は、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に実施されなければならないと記されているように、これは生活保護の問題だけじゃなくて、ほかの福祉、教育といったもの、さらには金銭的な観点、きょう山本議員のほうから家計支援の話もありましたけれども、例えばそれ以外にも徴税部門とか、そういったところの連携、これは多岐にわたってくることになります。
こうした生活困窮者自立支援を含めたさまざまな部署間で今後こうした連携の課題、これをどのように認識して、今少し御答弁の中にもありましたけれども、これをどのように認識しておられますでしょうか。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
御質問にもありましたとおり、自殺には健康問題、経済・生活問題やいじめ等さまざまな要因が複雑に関係しているところでございます。
これまでも生活困窮者の支援の取り組み、あるいは総合的な見守りシステム、あるいはDVの防止など、あるいは各種の相談窓口の設置などさまざまな取り組みについて関係部署が連携して対応してきているところでございます。今後も市民生活のさまざまな課題に対しては、必要に応じて部署間での速やかな連携に努めてまいりたいと思っております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
そうは申しましても、これまでさまざまな視点から窓口の一元化というものを多くの議員が求めてまいりました。今回の一般質問でも、日本共産党の若木議員から窓口対応の改善について質問がございましたし、さらに若者の自立支援の窓口についても我が党、公明党の福島議員がただしたところでもあります。こうした課題について他市の状況をここで二つ紹介したいというふうに思います。
一つは、お隣の日野市でセーフティネットコールセンターという窓口を2008年10月から開設しております。これは日野市健康福祉部の一つの課になっておりまして、主に生活困窮者自立支援の窓口として15名体制で業務を行っております。
また、自殺対策もこの部署が担当しておりまして、このセーフティネットコールセンターが窓口となって、生活保護、さらにはひとり親の支援など、こういう担当部署へつないだり、時には保健所やハローワークにもつなぐということを行っているそうです。平成28年度では、年間延べ4,553件の相談があったという、こういった状況がございます。こういうことをやっている、これは日野市の例ですけれども。
もう二つ目は、足立区です。これは、窓口の一元化ではないんですけれども、「つなぐ」シートというのを活用しております。
スクリーンをごらんください。
これが「つなぐ」シートという、ちょっと見づらいですが、これが「つなぐ」シートなんですけれども、どういうものかと申しますと、端的に申し上げれば窓口の紹介状であり、市民の相談カルテになります。
窓口の一元化を私たち議員が求めるのは、第一に市民がたらい回しにされるということを懸念するからなんです。ある窓口で相談しました。そこで済めばいいけれども、これについては担当はあちらの窓口になります、こういうふうに言われることもあります。そして、行った先の窓口でまた一から説明をしなくちゃいけない。
本市では、別の窓口を案内した場合には、職員の間で連携をとっているという答弁、先日もございました。そうであっても、実際に窓口の対応については、私たちの立場でたびたび苦情も耳にするわけです。特に高齢者になれば、あちらにと言われた先のその先もわからなくなってしまう。こういうことも実際にあるかもしれません。
そういうことをなくすために、このシートを紹介状として、次の担当者宛てに相談内容を書いておくんだそうです。これはいろいろ本人の承諾も得てというところもありますけれども、裏面もあって、つらつら書くそうです。それを見た担当者は、その方が何で自分の窓口に来たのか、またその前はどこの窓口を訪ねたのか、それがわかるから適切な対応ができることになる、そういうことになっております。
そして、この各部署間での相談内容を明記することで、それがそのまま相談カルテとして蓄積されていく、こういうことになります。つまり、その方がいつどういう悩みを抱えて、どこの窓口でどのような対応をしたかというのがこれでわかる、そういったシートになっています。
現在、本市の各部署でも、相談されたことについては記録をとっていると思います。ただ、これは「つなぐ」シート、こういうのを活用したときには、それが横断的な履歴となって残るという、こういう仕組みになっているわけなんですね。
スクリーンを終わります。
こういったことも窓口の対応、またそういう相談者の対応として今から検討できることでもあると思いますけれども、これについて見解をお示しいただけますでしょうか。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
今後、本市の計画策定に向けて検討組織を立ち上げると、関係部署と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。その計画の検討の中で、今、具体の取り組みなども御紹介いただきましたので、自殺対策の視点から市民対応の体制であるとか、仕組みというものも庁内でその計画検討の中で議論してまいりたいと考えております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
この「つなぐ」シートのようなものというのは、現実的に実施が考えられるのではないかと思いますけれども、これも物理的な距離が離れていては、やはり市民に不便を強いるという、こういうこともあろうかと思います。
不便だけならいいんですけれども、実際に生活に困っている方、また自殺を考えている方にとって物理的な距離というのは、相談を諦めるきっかけにもなりかねないんです。
そうであるならば、やはりこの物理的な距離も再検討しなければならないと考えます。
今のように社協と離れていて本当にいいのか、またこの6圏域で対策を実施する際にもこういった相談体制、今、御検討いただくとありましたけれども、これをどうしていくのか。このことは本当に今後、よくよく検討をお願いしたいと思います。要望いたします。
また、前年12月の議会では、この29年度を迎えるに当たりまして、ゲートキーパー研修を全庁的に行ってほしいということも、これ要望させていただきました。これについて今年度の検討状況をお示しください。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
昨年度、市民、民生委員を対象に行ったゲートキーパー養成講座につきまして、今年度も同様に実施を予定してございます。本年度は、20名程度の職員の参加枠を設けて研修としての受講を考えております。まずは、相談窓口等で市民と接する機会の多い職員を中心に受講させて、自殺のサインへの気づきや話を受けとめる姿勢、必要な支援先へのつなぎといったゲートキーパーの役割について学ぶ機会をつくってまいりたいと考えております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
いきなり全職員というのは難しいかもしれませんけれども、ぜひそれを意識して、できるだけ早い時期に全職員がこのゲートキーパー研修を受けられるように計画をお願いしたいと思います。
今回20人ということですけれども、前回この実施を求めた際に、このゲートキーパー研修が不必要な部署なんてないというふうなことを申し上げさせていただきました。例えば土木の部署でもこういったところに自殺を考えている人が来るかもしれないんだから必要なんだという、こういうような主張でこれを求めたわけなんですけれども、ですが正直申し上げてその主張、論法、少し無理があるのではないかと、私も実は心の隅でどこかで思っていたんです。
やっぱり関係ない部署というのはあるんじゃないかと。
自殺対策で幾ら全員がやったとしても、そういう自殺に関係ない部署というのはあるんじゃないかと思いまして、ですので自殺対策を大きく進めている行政の一つであります足立区の担当者に率直に伺いました。
ゲートキーパー研修、足立区は全庁でやっているわけですけれども、ゲートキーパー研修といっても、例えば土木部門なんて全然関係ないんではないですか、率直にお伺いしてみました。
でも、それについては即答で否決されました。即答でした。
いえ、関係あります。例えば公園の木、これを自殺という観点から見て、あの木の枝で首をつるかもしれないと考える。そうしたら、そこからでも自殺対策はできます。こういうお話をいただいたわけなんです。
ですから、あらゆる部署で自殺を防ぐゲートキーパー研修は必要だということです。
自殺を防ぐ最も大事なことの一つは気づくということですので、ぜひこのゲートキーパー研修、全職員にできるだけ早い時期に行っていただくことを再度、強く要望させていただきます。
ここで、今回の自殺対策白書で記された我が国の大きな問題点について申し上げたいと思います。若い世代の自殺です。
白書では、15歳から34歳の若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国では日本のみであり、その自殺率もほかの国に比べて高いものとなっていると報告されています。
スクリーンをごらんください。
厚生労働省の統計では、15歳から39歳の死因の第1位が自殺となっています。ちょっと見づらいですけれども、一番左側が第1位です。15歳から39歳の間が第1位となっています。これを男女別ですと、女性では15歳から29歳で自殺が死因の第1位、その次の30歳から54歳でも2位となっていて、ちょっと見づらいですけれども、3位の割合を大きく引き離している、そういう状況があります。さらに男性では、ごらんのとおり、10歳から44歳までの死因の第1位が自殺という実に大変な事態となっており、この現状を受けて、今回の白書の中では、我が国における若い世代の自殺は、深刻な状況にある、こうしております。
スクリーンを終わります。
今回の改正基本法で、この中で第17条、学校は、困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身につける等のための教育啓発などを行うよう努めるということが新たに定められました。これは、SOSの出し方教育と呼ばれるものなんですけれども、これについて学校現場ではどのようにお考えでしょうか。
◎教育部長(栗原寛君)
本市としましても、児童生徒の自殺問題というのは非常に重要視しておりますし、危機感を持っているところでございます。
子どもたちが何か困難な状況に遭ったときに早くSOSを出せる、そういったことを教えることというのは非常に重要なことでありますし、大人が子どもが出すSOSに早く気づいて相談につなげる、そういったことは重要でありますし、そのような取り組みを実施しているところでございます。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
自己肯定感が低い人ほどSOSを出せない、こういうことが言われておりまして、現在の学校の道徳授業とかでも、自己肯定感を高めることを目的として授業をやっていただいていると思います。ですから、今でも自殺対策につながることを既にやっていただいているという、そういう部分もあると思います。
その上で、SOSの出し方教育について申し上げれば、先日公表された5月15日付の新たな自殺総合対策大綱のあり方に関する検討会報告書、ここで報告されているのは、10代前半の自殺では、遺書やメール、サイトなどへの書き込みといった原因や動機を判断できるものを残さない比率が他の世代よりも高いこと。さらに、自殺未遂歴のない場合が多い。つまり、周囲が事前の予兆を感じないで自殺に至る傾向がこの年代には強いという、こういう傾向があるということなんですね。だから、子どもみずからが命や暮らしの危険に直面したときに、誰にどうやって助けを求めればよいのかを具体的かつ実践的な方法を学ぶと同時に、つらいときや苦しいときには助けを求めてもいいんだよという、こういうことを学ぶ、これがSOSの出し方教育だというふうに言われております。
この概要と方向性については、この大綱にも盛り込まれることになっているようですので、きょうのところは、この御認識をぜひお願いしまして、今、本当に御答弁いただきましたけれども、その御認識でしっかりこの自殺対策を教育の現場でもぜひよろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
冒頭に、自殺対策基本法についての市長の見解を伺いました。まさにその見解のとおりに進めていただきたいと思うんですけれども、この自殺対策を国が推し進めたことによって結果が出たことは、先ほど来申し上げております。その実態については行政間で差があるのも、これも事実です。
自殺対策が大きく進んでいる自治体の一番の共通点はどこかといえば、行政のトップ、市長が、首長が先導していることです。都内でいえば荒川区、足立区での自殺対策が大きな先進事例です。また、お隣の日野市でも自殺対策の条例が制定されています。さらに、東京都の隣、山梨県でも条例が制定されました。この全てがトップのリーダーシップで推進しております。
この山梨県の自殺対策条例というのは、全国で初めての議員提案によるものとして、去年4月に制定されました。しかし、この条例策定に中心的な役割を担った自由民主党の県会議員みずからがおっしゃっていたのが、これがどうしてできたかといえば、知事がやると決めてくれたからできた、議員提案なんだけれども、これはやっぱり知事がやると言ってくれたからできたというふうに、これをおっしゃっておりました。
この自殺対策を行うに当たりまして、現在トップセミナーというのが全国で開催されています。今年度中にもこの東京都でも行われることになっておりますけれども、市民の命を守る自殺対策のトップのためのセミナーにぜひ市長みずから参加していただき、これからの計画の先導をしていただきたいと思いますが、市長の御見解を伺います。
◎市長(清水庄平君)
セミナーの存在は承知しております。今後、日程がきちんと決まれば、招待のようなものが、参加申し込みのようなものが来ると思うんですけれども、できるだけ早く日程調整ができる限り参加していきたいというふうに考えております。
◆6番(大沢純一君)
日程の調整をして、この御参加をぜひよろしくお願いしたいと思います。
自殺のない社会づくり市町村会というのがございます。東京都では、区部は23区中13区、市部では26市中4市、三鷹、日野、多摩、稲城のこの4市が参加しております。
今後の最新の情報の入手や共有、交換また行政間の連携を考えたときに、ぜひ本市も参加すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
本年4月に設置されました東京都地域自殺対策推進センターが業務として、情報の収集や自殺対策計画支援、それから連絡調整、区市町村及び民間団体への支援等について業務を行うというふうに聞いておりますので、まずはこのセンターのもとで他市との情報共有や連携した取り組みなどを検討してまいります。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
先ほど来、情報ということの入手を申し上げておりますので、これについてはできるだけ多くのアンテナを張っていただきたいと思うので、ぜひ参加をお願いしたいと思いまして、これについてはもう一度御検討ください。
きょうのところは、自殺対策ということで、さまざま確認させていただきました。ただ、今回まだ確認できていない重要な点として、自死遺族の支援の問題があります。これはかいつまんで申し上げると、自死遺族に対する大きな支援として、そういった遺族同士が思いを語り合う場づくりというのがとても重要になってまいります。特に自死遺児、大切な人を亡くした子どもたちの支援をやっている。これを自治体でやっているところは現在一つもないだろうということを、この自死遺族支援の団体から聞いております。
この自死遺族同士が集う場をつくるときに大切なのが他市との連携なんですね。実は、日野市と多摩市が共催でそうした集いを今行っておりまして、日野市で最初にこういう集いを行ったときに、日野市民だけでなくて、周りの自治体で、遠くは神奈川からも自死遺族の方が参加されたそうです。自分が住んでいる自治体だと知っている人がいるかもしれないということで、実はちゅうちょされる方も多いということです。
そういったところから、今度は隣接する多摩市と一緒に行うことにしたそうです。そうすると、多摩市の集いには日野の方が行って、日野の集いには多摩の方が来て思いを語っていく。こんなことをこの日野市で今、これまで自殺対策、そして交通遺児対策にずっと取り組んできた元民進党の議員の方から伺いました。
この自死遺族に対する対策としては、また場を改めて質問させていただきますけれども、まずはこうした他市との連携、今、周辺9市との連携も進んでいますけれども、そうした連携のためにも、この自殺のない社会づくり市町村会、改めてやはりこれが重要だというふうに思います。こうした連携の中でやることが重要だと思いますので、改めて見解を伺います。
◎保健医療担当部長(横塚友子君)
遺族への支援につきましては、大変重要な課題であるというふうに認識しております。
東京都への要望などにおきましても、自殺対策への支援につきまして、遺族支援の項目についても含めて、広域的な取り組みについての支援を進めていただくように要望しているところでございます。
御質問いただきました市区町村会への参加ということにつきましては、引き続き検討はしてまいりたいと思っております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
この質問の最後に、本市の自殺者の状況をもう一度申し上げたいと思います。交通事故との比較を通して、本市の状況について認識を共有させていただきたいと思います。
本市では、交通事故対策というのは確実に結果が出ています。行政担当、また警察を初めとして、地域の交通安全協会の方、またシルバー人材センターの方々、さらにはPTAなどの学校現場の方々、また御家庭の教育など、さまざまな市民で子どもたちを初めとした見守りですとか、事故を未然に防ぐという、そういう体制をつくっていただいております。その結果として、立川警察署の発表では、事故件数が年々確実に減っています。
スクリーンをごらんください。
これは、立川警察署で公表している平成17年から26年の10年間の交通事故発生件数等の推移のグラフです。
青い折れ線グラフ、下側なんですが、青い折れ線グラフが交通事故の発生件数。その上の緑の折れ線グラフが負傷者件数。赤い棒グラフというのは、死者数となっております。
これをごらんいただくと、事故の発生件数、負傷者数ともにこの10年間、減少傾向にあるのが見てとれます。さまざまな地域の方の日ごろからの御尽力で事故は減少して、その結果、事故による死亡者件数も1桁台で推移しまして、事故件数がゼロであった年もあります。
では、自殺者数についてはどうか。平成21年から26年までの死亡事故の件数と自殺での死亡者数を並べたのがこちらです。
青い棒グラフが自殺者数、オレンジ色の棒グラフが交通事故での死亡者数です。実に毎年、交通事故で亡くなる方の6倍から10倍の市民が自殺で亡くなっているという、そういった実態がございます。
次に、警視庁の自殺統計で示された平成21年から28年までの立川市の自殺者数の推移がこちらです。
これは前回12月の議会でも、今回でも伺いましたけれども、平成21年は31人、一番多い年で22年の50人、28年は34人となっています。
グラフの赤い線というのは近似曲線で、つまりこの期間の推移の傾向なんですけれども、ごらんのようにほぼ平行で推移している、こういった状況です。この21年から先ほど、27年までの結果をいただきましたけれども、21年から28年までのこの8年間で実に295人の市民が自殺で亡くなっているという、こういった状況もあります。
スクリーンを終わります。
これが本市の現状です。先ごろ公表された第10次立川市交通安全計画の素案では、その冒頭に計画の趣旨として、人命尊重の理念に基づき、交通事故死傷者をゼロに近づけるということが明記されております。
本市の現状について、交通事故と比較したのはまさに同じ思いで、最後のセーフティネットであるこの自殺対策、これを本市で自殺をゼロにしていくための対策をこれからオール立川で進めて、自殺対策基本法の目的である、先ほど市長からの御答弁にもありました誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を本市で目指してまいりたい、そのことを申し上げてこの質問を終わります。