立川市いのち支える自殺総合対策計画について(市内自殺者の傾向について/重点施策について)

令和元年第2回定例会一般質問(2019年6月5日)

◆6番(大沢純一君)

公明党の大沢純一です。

昨日、私たち公明党市議団として、5月28日に川崎市で通学バスを待つ小学生とその保護者が男に刺された死傷事件を受け、市に小中学生の登下校時のさらなる安全対策を求める緊急要望書を提出しました。何の罪もない子どもたちと一緒にいた保護者までもが傷つけられ、2人が亡くなるという今回の事件は、今でもその衝撃と悲しみが続いております。

その犯人が子どもらを無差別に襲い、その直後に自殺したということが「拡大自殺」との言葉で報道されました。

これまでも申し上げてきましたが、この殺人と自殺とは表裏一体であり、命を奪うことのベクトルが他者に向かうか、自分に向かうかの違いでしかないとも言われております。そうした人生に対する絶望をどう受けとめ、支え、希望をつくり出していくのか。同じ悲劇を再び起こさないためにも、新たな令和という時代の最初の質問として、自殺対策について伺います。

平成28年12月の第4回定例会でこのことを取り上げてから、今回で5回目の一般質問となります。この間、庁内の自殺総合対策推進本部や計画策定委員会などでの検討を経て、前回3月の議会で立川市いのち支える自殺対策計画案が報告されました。

これまで申し上げてきたように、人が自殺に至ってしまう原因、傾向が都市部と地方で違うこと、また自治体の人口規模でも傾向が異なること、さらに地域による違いがあることなど、その地域の傾向に合わせた自殺対策の必要性が市町村ごとの計画策定が求められている理由であります。

今回、市より示された計画案では、そうした本市の特性を踏まえた重点施策として、高齢者への支援、生活困窮者への支援、無業者・失業者への支援、妊産婦への支援の4項目が提示されました。

さきの厚生産業委員会では、今回6月の議会で骨子案が示され、12月に素案が示された後に、今年度末に原案が示されるとの報告がありましたが、まずは改めて、この立川市いのち支える自殺対策総合計画について検討と策定の状況をお示しください。

◎市長(清水庄平君)

まず自殺総合対策計画につきましては、今年度中に策定することとして準備を進めております。
今後につきましては12月議会で素案を示し、その後に市民意見公募を経て、令和2年3月議会に原案を報告する予定としております。
その他、担当から答弁いたします。

◆6番(大沢純一君)

それでは、順次お伺いいたします。

改めて申し上げますが、本市として策定される自殺対策計画の一番重要なことは、本市の自殺者の傾向をどう認識し、その対策を立てるか、こういうことになります。
そこでお伺いしますが、本市の近年の自殺者の傾向をどう分析しているのか、まずこれをお示しください。

◎保健医療担当部長(吉田正子君)

自殺者の傾向についてでございます。
本市の自殺者の傾向につきましては、平成25年から29年の5年間で見ますと、男女別では男性が多く、全体の77%となっております。
自殺死亡率で見ますと、80歳代の男性が最も多くなっており、次いで50歳代の男性、30歳代の男性の順となっております。
職業の有無別で見ますと、有職者に比べて無職者の死亡率が高くなっており、女性は職業の有無により顕著な違いは認められませんでした。
以上でございます。

◆6番(大沢純一君)

大体高齢の方がかなりその率が多いという、こういった回答、特に男性が多いという、こういった御答弁でございました。
そこで、本市におけます若い世代--まあ、これどこまでを若いというふうに考えるのか意見あると思いますが、例えば10代から30代までと考えて、その世代、こういった世代については自殺……、この世代の自殺についてどのような見解を持っているのかお示しいただけますでしょうか。

◎保健医療担当部長(吉田正子君) 

若い世代の傾向についてでございます。
若い世代につきましては数値的には高くはありませんが、有職者に比べ無職の方の自殺死亡率が高い傾向にあります。
また、家族間の不和から孤立し自殺に至ったとか、また就職の失敗から将来を悲観して鬱病に至ったという事例があるというふうに聞いております。
以上です。

◆6番(大沢純一君)

ここでスクリーンをごらんください。これは前回、3月6日の厚生産業委員会で報告された資料になります。

本市の過去5年間、平成25年から29年の年代別の自殺者数を合計して、そこから算出された、先ほど自殺死亡率というふうなお話ありましたけれども、この率です。つまり、10万人当たりの自殺率を出した、それのグラフになります。

これによりますと、先ほど御答弁ありましたとおり、男性が圧倒的にというか、多く、また80代、50代、30代という、こういったことが、先ほどの答弁のとおりのこういった表になっております。

計画案では、本市が取り組む施策体系として、基本施策、重点施策、生きる支援の関連施策という三つの柱が示されました。

中でも、ちょっとこれ小さいですが、重点施策では、先ほどの本市自殺者の年代別の傾向をもとに、高齢者や生活困窮者及び無業者・失業者をハイリスク層として、それに対する施策を推進すること。さらに、妊産婦に対する支援の推進も掲げられました。

本市の傾向を分析された上で、この妊産婦という具体的な対象を支援するということを挙げられたことについては、これは大きく評価をしたいというふうに思いますが、これについては改めて機会を設けて質問させていただきたいと思います。

ここで重点施策について少し整理してみたいと思いますので、このマトリックスで考えてみたいと思います。

ここでは、縦軸に年齢、高齢者と若者としまして、横軸に就業か無業か、こういった区分で区切りました。それぞれ高齢で無職、高齢で職についていると。若者で無職。若者で職についている。こういった区分になります。

これを今回の自殺対策の計画、重点施策に当てはめてみますと、高齢者への支援。ここは無職、就業問わず当てはまる、こういったことになります。

また、無業者・失業者対策というところでは、この層が対象になります。ここでは、仕事についていないということから生活困窮者というところにも当てはまる、こういったことになろうかと思います。

その中で問題なんですが、この若者で職についている層、今回はここが重点施策に入っておりません。もちろん、重点施策なので全てを網羅するという、こういう必要はもちろんないとは思います。ただ、しかしこれまで申し上げてきました、これ平成27年度の資料ですが、最新の資料でもこの動向は変わっていません。15歳から39歳までの死因の第1位が自殺というのがこの国の現状であります。

男女別では、女性の15歳から29歳までの死因の1位が自殺という、こういったことになっておりますし、

また男性では実に10歳から44歳という、人生の前半の死因として自殺が第1位という、こういった状況にあります。


こういったことを踏まえて、我が国における若い世代の自殺は深刻な状況にあるという、これ2017年度版の自殺白書に記載されましたが、最新の白書においても、これは続いている。こういうことは認識をされていると思います。

その上で、近年の市内の年齢別の自殺者数の推移を見てみたいと思います。

先ほどのグラフ、自殺対策計画案で示された年齢別のグラフは、同じ時期の、同じスパンの年齢別の人数を積み上げて、そして自殺率として出してありますけれども、ここでは年代別に、毎年その推移を追ってみます。このような表になりました。これをそれぞれグラフ化したものが、こういうことになるんですけれども、まず80代以降です。赤の点線というのは近似曲線で、将来的な傾向、これを示しております。

 

これからわかることは、やはり先ほどの御答弁、また自殺率のデータのとおりでありますし、また70歳以上の高齢者でも自殺に至る人数が増加傾向にある、こういったことになっております。


一方、それより下の60代で、もう少し下の50代、これも減少傾向にあるという。まあ、人数ベースですけれども、そういった傾向に現在本市の状況はあると言えると思います。


ところが、40代で、30代以下となると増加傾向を示している。

これが本市の近年の状況だというふうに、こういった表の中では見てとれるのではないかなというふうに思っております。

先ほど若い世代の傾向として数値的には高くない、こういった御答弁がありました。率ということではそういったことかもしれません。ただ、果たしてその分析でいいのか。ここはちょっと再考が必要なのではないかと思っております。

まさに若い世代、我が国における若い世代の自殺率は深刻な状況にある。こういったことを踏まえてもう一回再考を、ここはお願いしたいと思います。

スクリーンを終わります。

今申し上げましたとおり重点施策ですから、全ての世代を網羅する必要はもちろんないと思います。ただ、近年の本市の状況、今ごらんいただきました状況を考えたときには、やはり若い世代の対策も重点的に行っていくべきだというふうに考えるんですけれども、これについて見解をお示しください。

◎保健医療担当部長(吉田正子君)

若い世代の傾向につきましては、先ほどお話しいたしましたように、率として見ると数値的には高くはないというふうには認識しているところでございます。
ただ、有職者に比べ無職者の方の死亡者数、死亡率については決して低くございませんので、自殺対策につきましては早期発見と支援が全体的に必要であるというふうに考えております。
以上です。

◆6番(大沢純一君)

先ほどのマトリックスで赤く示しました若者で仕事についている層。今無業者と言われる、失業者とか仕事についていない層の若者という話もありましたけれども、今回示しましたのは若者で仕事についている、こういった層の部分なんですけれども、例えば、現在日本中で進められている働き方改革、この本庁のほうでもそうですけれども、働き方改革。これの一つの大きなきっかけになったのが、2015年12月の大手広告代理店の新入社員による過労自殺、そういうことがありました。

そういった若い世代が自殺に至ってしまうときに、仕事をしているんだけれども、自分の将来に見通しが立たない、また失望しているといった諦めに起因する、こういったことも少なくないと思います。

その中で数として、率はまだ、全体の率ということではおっしゃるとおりなんですけれども、一人一人の数として見たときに、ここは増加傾向を示している、本市の若い世代はという自殺者数であります。

現在の超高齢社会と言われる中で高齢世代への対策はもちろんこれは重要です、外せないと思います。ですが、本市の将来的な人口構成とともに、さまざまな事業の継続性、こういうことを考えたときにも、やはり若い世代へ重点的にアプローチをして、その世代への安心をどうつくっていくか、これが重要だ、このように考えるわけです。

NPO法人で日本ファイナンシャル・プランナーズ協会、こういったところがありますけれども、ここが2017年10月に発表しました「働く若者のくらしとお金に関する調査2017」、こういった調査があります。

この中で全国の20歳から34歳の就業者を対象にした調査がありまして、ここでは「将来の暮らしに安心しているか、不安があるか」、これを聞いたところ、「不安がある」と「どちらかと言えば不安がある」が合わせて69.7%、約7割の働いている若者が不安を持っている、こういった結果が示されております。

この調査の中では、働くことについての意識を聞いたところ、「今は苦しくても頑張れば、将来の暮らしは安定するか」、こういった質問に対して「全くそうは思わない」と「余りそうは思わない」の合計が51.0%、こういった結果が示されておりまして、

働く若者の半数が、今は苦しくても頑張れば将来が安定するという意識が持てないようでいるようです。
--と、この報告書の中で述べられております。

まさに、この若い世代というのは将来不安と一生懸命闘いながら生きている。こういった現実は、恐らく本市に住む若い世代も同様なのだというふうに思っております。

これまでこの自殺対策については若い世代の対策、私もこれ何度も求めてまいりました。児童生徒に対する対策、ここについては、特に10代前半の自殺では遺書やメール、サイトなどの書き込みといった原因や動機を判断できるものを残さない比率がほかの世代より高い、こういったことも申し上げてまいりましたし、また自殺未遂歴がない場合も多い、こういったお話もあります。つまり、周囲が事前の予兆を感じないで自殺に至る傾向がこの年代には強い、こういうことも何度も申し上げてまいりました。

また、平成29年10月に座間市で起こった事件、SNSで「自殺したい」「死にたい」と書き込んだ10代後半から20代後半の9人が犯人によって殺されてしまうという、そういった事件がありまして、このときにもICTを活用した若者へのアウトリーチ策の強化の必要性も求めてまいりました。

もちろん、自殺対策は全世代に必要な、そういった対策ではあります。しかし、特に本来夢を持って希望にあふれるべき、そういった若い世代が、どんな理由であれ死ぬことを選ばない、そういった社会をつくることが私たち大人の責任だというふうに思っております。

こういったことを考えれば、ここは実際の対策としても、そして若い世代に対するメッセージとしても、この本市の重点施策に若い世代への対策を入れる必要性をいま一度考えていただきたいと思いますが、ここは理事者、御答弁あればお願いいたします。

◎副市長(大霜俊夫君)

それぞれの自治体において、自殺の要因含めまして、どういう世代がどのような傾向を示しているかというのは各自治体でも違うというふうな説明は受けてございます。
立川市の特徴というのを分析して--まあ、今大沢議員のほうから、こういう増加傾向含めてというお話もいただきました。
対策自体は、特段ターゲット層として多分一番難しいのは若い人で有職、要は行政と余り接点を持っていないということがございますので、どちらかというと自殺対策というのは行政との接点がかなり--まあ、四つから五つあるんだろうという。ただ、多分若い人で有職者ということになると多分行政と接点がないので、そういう方にどうアプローチできるかというのは多分啓発的な意味合いを含めてのアプローチになろうかと思いますので、その辺は東京都の計画もあるでしょうし、国の考え方もあるでしょうと思いますので、具体に重点施策としてこれが云々というのが今私のほうでぱっとは思い浮かびませんけれども、御指摘いただいた点も含めて議論はしていきたいと思います。

◆6番(大沢純一君)

そのとおりだと思います。もちろん、その層が一番行政とは接点がないという、そのとおりだと思いますし、じゃ、そこを具体的な施策として市がどこまでできるのか、本当にそこを把握できるのかというところも、もちろん事実あると思います。

ただ、先ほど申し上げているのは、これから本当に本市も高齢化して--まあ、日本全国高齢化をしていく超高齢社会。ただ、そこでも若い世代がしっかりこの立川に定着をしていただいて、そしてこの立川の次の世代を、時代を担っていただく。そうしたときに、本市の一つの若い世代に対する思いとしてここはしっかり、何が実際に施策として生きるかということよりも、若い世代にしっかり考えているんだ、しっかり君たちの未来を考えているんだという、こういった施策の中でこの自殺対策。特に本当に、再三申し上げますけれども、若い、そういった夢を持つ、希望を持つ世代が何が起こっても死を選ぶような、そういった社会であってはいけないというふうに思っておりますので、そういったメッセージという意味合いも含めて、この若い世代に対する対策というのは、どうかもう一重深くしていただければということを要望して、次の質問に移りたいと思います。

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