(東京・立川市)全市立図書館に本の除菌機設置

2020(令和2)年9月13日付 公明新聞4面(東京・山梨版)

立川市は先ごろ、全市立図書館に書籍除菌機を設置した。公明党立川市議団(高口靖彦幹事長)はこのほど、市立中央図書館を訪れ、使用状況を確認した【写真】。

書籍除菌機は紫外線を当てることで除菌、消毒するほか、送風により、本のすき間にある、ほこりを除去する。また、機器内に消臭剤を循環させ、たばこやペットのにおいを取り除くこともできる。市議団が視察した中央図書館では2カ所に設置しており、担当者によると、利用者は新型コロナ禍の影響で除菌の意識が高まっているとし「稼働する頻度は高くなっている」という。

党市議団は今年5月、清水庄平市長宛てに提出した緊急要望書で、図書館を利用する市民のために書籍を除菌できる機器の導入を求めていた。

新型コロナと今後の社会 識者に聞く―慶應義塾大学教授 井手 英策 氏

2020(令和2)年8月21日付 公明新聞1面

ベーシック・サービス

”無償化”で不安を解消 教育、医療、介護、障がい者福祉など 暮らしを支える基盤強く

ーコロナ禍が突き付けた日本社会の問題は。

井手英策・慶應義塾大学教授 コロナ禍は、日本の社会が抱える問題を「可視化」してくれた。特に、セーフティーネットと呼ばれる暮らしを支えるための基盤が、あまりにも”もろい”ことがよく分かった。

例えば、日本には先進国では常識の低所得者層向けの住宅手当がない。休校中の子どもの育児で仕事を休んだ親や、自粛要請の協力した人に対する所得保障の仕組みも持っていない。そうした社会保障がないから、突然、失業者や収入減少といった危機に直面した人は慌ててしまう。

結局、不安の原因はお金がないためだとして、国民にパニックを抑えるには、現金を配る選択肢しか残されていなかった。この脆弱な社会をいかにつくり替えていくかという議論を始めるべきだ。

―どのように、つくり替えていくのか、その方向性は。

井手 今回の一律10万円給付は、所得制限を設けず中間層や富裕層も含めて全ての人に配ったから、国民に支持された。消費税の軽減税率を同様に全ての人に利益があるからだ。しかし、例えば、大学に通う子どもの学費や、大きなけがをした場合の医療費は、1回の10万円給付だけでは足りない。だから、誰もが必要とする、もしくは必要になる可能性がある教育、医療、介護、障がい者福祉といった「ベーシック・サービス」を税財源で無償提供することを提案してきた。

予算規模で比較すると、一律10万円給付は約13兆円、与党の尽力で始まった幼児教育・保育の無償化の今年度予算は約9000億円だ。13兆円は、幼保無償化を15年近く続けられるほど莫大な金額だ。

あるいは、消費税を5%減税した場合はどうか。総務省の家計調査によると、収入が最も低い20%の世帯の消費額は年間約160万円で、減税効果は8万円。収入が最も高い20%の世帯の消費額は同約470万円で、減税効果は約24万円となり、富裕層が得をする。
現金給付や減税のような「お金」で返す方法よりも、生存と生活を保障するサービスを無償化に近づけた方が、全ての人が将来不安から解消され、安心して暮らせる社会をつくれる。

「連帯」構築へ新たな発想

―ベーシック・サービスを無償化に近づけるために必要な考え方は。

井手 当初は、貧しい人に30万円給付する案だったが、一律10万円給付は国民に歓迎された。この事実に、貧しい人に対する思いやりより、自分の生存に必死になっている人間の姿が浮かぶ。結婚を諦め、子どもや持ち家、いろんなことを我慢し、歯を食いしばって生きている人が大勢いる。人間は、自分の生活が安全・安心にならない限り、他者を思いやることは難しい。重要なのは全ての人の生活防衛だ。

経済は低成長を続け、少子高齢化が進む中、これから長い停滞の時代に入っていく。コロナ禍はその一部に過ぎない。本当の危機はこれからやってくる。歴史を振り返れば、危機の時代では、人々は新しい連帯の仕組みを作り、支え合い、満たし合って生きてきた。これまでは、経済を成長させ、自分の力で稼ぎ、自己責任で生きていけたが、危機の時代は無理だ。社会全体が連帯する新たな仕組みが求められている。

一部の人、例えば貧しい人だけを助けようとすれば、中間層や富裕層は、これをねたむ。危機の時代には、大勢の人が困っている。心の底から「困っている人のために」と思うのであれば「皆のために」と言うべきだ。公明党は、右でも左でもない新たな発想で、連帯の社会づくりをリードしていくべきだ。

取材現場から~休日明け申請、なぜ負担増か

2020(令和2)年4月15日付 公明新聞7面

2020/04/15公明新聞7面

取材現場から

休日明け申請、なぜ負担増か

国指定難病である「黄色靱帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)」と診断された福岡市の男性(71)は、しびれが残る足をさすりながら、難病が発症した時の様子を語ってくれた。

昨年8月9日は金曜日だった。下半身がしびれる感覚に襲われた。すぐに病院を受診したが原因は不明。翌10日の土曜日には歩行困難な状態まで悪化し、緊急入院すると「黄色靱帯骨化症」だと診断された。

11日の日曜日には両足が完全に動かなくなったため、医師の判断で急きょ、「山の日」の振替休日である12日に手術した。

連休明け、男性の家族は市の窓口を訪れ、難病医療費の助成を申請した。だが、市の担当者から、「医療費の支給は法律で申請日からと決まっている」と言われ、手術費などが助成対象外に。月3万円で済むはずの自己負担額が、約27万円になったという。男性は、「申請したくても休日で市の窓口が閉まっていた。行政は患者の実情に配慮してほしい」と憤っていた。

今回のように、急な発病や症状の悪化により、診断後、申請する機会が無いまま手術を行う場合がある。市は、休日も申請可能な窓口を設置できないのか。一方、国が定めた難病法も、診断日ならともかく、申請日からしか助成を受けられない現状はどうか。

現在、男性の声を聞いた公明党の楠正信市議が下野六太参院議員と連携し、課題解決に取り組んでいる。難病法施行から今年で5年。全国に90万人いる国指定難病患者の実情に心を配り、力強く支えていく法整備を進めてほしい。(悠)

水の都・東京 復活を

2020(令和2)年3月27日付 公明新聞2面

水の都・東京 復活を

党都本部PTが意見交換

玉川上水を活用し水質改善

江戸城の外堀や日本橋川などの水質浄化に向け、公明党東京都本部の「水と緑の回廊・国際都市東京の実現プロジェクトチーム」(PT、座長=竹谷とし子参院議員)は26日、衆院第1議員会館で、玉川上水・分水網を生かした水循環都市東京連絡会(代表=山田正・中央大学教授)と意見を交わし、東京都などから取り組みを聞いた。公明党の太田昭宏全国議員団議長はじめ竹谷座長、岡本三成衆院議員らが出席した。

席上、山田代表らは、腐臭を放つアオコの増殖などで、外堀の水質が悪化している現状を指摘。水辺の再生には、江戸時代に開削された「玉川上水」を活用し、多摩川の河川水を導水する根本的な水質の改善が必要だと述べた。

太田議長は、水の都・東京の復活に向け、公明党が長年取り組んできたとし、「前進していけるよう、一緒に取り組む」と語った。

住まいは社会保障の基盤

全世代型社会保障について公明党が現在、「住まい」を社会保障の柱と位置付けて検討を進めている、という記事が公明新聞に掲載されました。

これは私が初当選以来、市議会の場でずっと主張してきたことであり、最終提言の取りまとめに大いに期待しています。


2020(令和2)年3月23日付 公明新聞2面

住まいは社会保障の基盤

公明、政府施策への反映めざす

全世代型社会保障について政府が夏にも取りまとめる最終報告に向け、公明党は現在、最終提言を行うための準備を進めている。この中で公明党は「住まい」を重要な柱の一つに位置付け、施策の充実をめざす方針だ。昨年10月に設置された党住まいと暮らし問題検討委員会(委員長=山本香苗参院議員)の国重徹事務局長(衆院議員)に、住まいを巡る施策の現状と課題、党の取り組みを聞いた。

福祉との連携が重要

――住まいを社会保障の柱に位置付ける理由は。

公明党はこれまで、生活支援プロジェクトチームを中心に困窮者支援を推進してきたが、その取り組みの中で、現場の課題として浮き彫りとなったのが住まいの問題だ。住む所があって初めて社会保障などの支援制度につながり、就労や世帯形成も可能となる。まさに住まいは「社会保障の基盤」だ。

一方、空き家が増えている半面、単身高齢者や低所得者、障がい者、ひとり親家庭、刑務所出所者など、家を借りたくても借りられない人がおり、今後さらに増加が見込まれている。また、持ち家があっても、災害などで家を失った単身高齢者が新たな住まいを確保しにくいという場合もある。つまり、住まいの問題は誰もが直面する可能性があるということだ。

公明党は、こうした住まいの確保が困難な方々に低廉な家賃で民間の空き家・空き部屋を提供する住宅セーフティネット制度を推進してきた。これを、より広く行き渡らせるためには、地方自治体における住宅と福祉の連携が極めて重要であり、地方議員の皆さんと共に取り組みたいと考えている。

――検討委設置から現在までの取り組みは。

検討委では、居住支援の関係団体などにヒアリングを行うとともに、住まいの確保が困難な方々を支援している先進事例を視察してきた。今国会でも、1月の参院予算委員会で山本委員長が「住まいを全世代型社会保障の基盤として位置付けるべきだ」と提案し、安倍晋三首相から「公明党が指摘した点について、よく伺いならが議論を進めたい」との答弁を引き出すなど、党の主張が政府の施策に反映されるよう取り組んできたところだ。

高齢者らの住宅確保へ 貸す側の不安取り除け

――今後の展開は。

党の最終提言取りまとめに向けて議論を進めていく。高齢者らが家を借りにくい背景として、貸す側がや賃貸滞納や孤独死などを恐れていることがある。これらの不安解消には、入居時だけでなく、入居後も見守りなどの支援を行う必要がある。身寄りのない高齢者らが亡くなった後の遺留品処分のあり方や、連帯保証人の確保も検討が急務だ。

外国人や刑務所出所者の住まいを巡る実情も調査し、何ができるか検討したい。深刻化する社会的孤立の防止も、住まいの安心という観点で必要になる。

人生100年時代を見据えて、住まいを暮らしの安心をセットで確保できるよう党を挙げて取り組んでいきたい。

誰も置き去りにしない社会保障

2020(令和2)年2月29日(土)付 公明新聞4面

「誰も置き去りにしない」は、国連の持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))の基本理念として知られ、国際社会に定着しつつある規範の一つだ。公明党は、この理念を外交のみならず、内政の基軸に据えようと取り組んでいる。社会保障政策においてはどうあるべきか、現在進められている全世代型社会保障への評価も含め、慶應義塾大学経済学部の井手英策教授に見解を聞いた。

[背景]手取り収入97年で頭打ち 従来の弱者救済で良いのか

―「誰も置き去りにしない」とは、日本の社会保障政策でどんな意味を持つか。

井手 今、社会を見渡すと、生活に不安を抱えている人が少なくない。国際社会調査プログラムによると、「5年後は暮らしが良くなる」という問に賛成した日本人の割合は、調査対象17カ国の中で最低だった。また、内閣府の調査によると、悩みや不安を抱える人の割合が6割を超えている。厳しい状況だ。

経済が右肩上がりだった時代は、運悪く貧しい環境に置かれた一部の人たちを「弱者」とみなし、救いの手を差し伸べれば良かった。しかし今、困っているのは「特定の誰か」ではなく「みんな」だ。大勢の人が将来不安におびえる社会にあって、従来通りの弱者救済で良いのか、疑問だ。

特に、中間層(年収300万~800万円)からこぼれ落ちまいと必死で踏ん張る人たちは、なけなしの収入から払った税が弱者救済だけに用いられることを受け入れられるのか。かえって、彼らへの反発を募らせ、自己責任が叫ばれ、社会の亀裂を生むのではないか。
「誰も置き去りにしない」との理念は、「全民衆の最大幸福」という意味で日本の社会保障の核となる。

―将来不安の背景にあるものは。

井手 収入が減り、貯蓄もできなくなっている。加えて、人生100年時代と言われる長寿化は、それ自体は喜ばしくとも、貧困とセットになって老後の不安を増大させている。

具体的なデータを示したい。世帯の可処分所得(税引き後の手取り収入)は1997年で頭打ちとなり、今もそれを超えられない。また、税引き前の所得である「世帯収入」の分布状況を見ても、2018年で300万円未満が全体の34%、400万円未満が47%を占めた【グラフ参照】。

この間、共稼ぎ世帯数が専業主婦世帯数を明確に上回わった。つまり、稼ぎ手が1人から2人に増えたにもかかわらず、世帯収入が落ちたのだ。
こうした中、日銀が事務局を務める金融広報中央委員会の17年調査では、単身世帯の5割、2人以上世帯の3割が「貯蓄なし」と答えている。

―家計の金融資産の3分の2を60歳以上の世帯が保有する中、貯蓄ゼロは深刻だ。

井手 だがそれば「ありふれた危機」だ。要するに平成の約30年間で、私たち日本人は急速に貧しくなった。世界における日本の相対的な立場も、1人当たりGDP(国内総生産)が世界4位(1989年)から26位(2018年)へ転落している。

[課題]”備えは自己責任”に限界 現役世代の支援 先進国で最低水準

―低成長下での社会保障はどうあるべきか。

井手 先程の世帯収入の分布状況は、日本社会で多数派を占める中間層が低所得層化しつつある実態を示している。中間層は、現役世代を言い換えてもいい。

しかし日本の社会保障は、現役世代への支援が貧弱なのだ。高齢者向けと現役世代向けの社会保障給付の各割合(対GDP比)を見れば、一目瞭然だ。経済協力開発機構(OECD)諸国の中で、日本は高齢者向けに偏り過ぎており、現役世代向けは最低レベルだ【グラフ参照】。

―現役世代向けの給付を抑えられたからこそ、日本は一貫して”小さな政府”でいることができた。

井手 そうだ。そして、その政府を支えてきたのが自己責任のイデオロギーだ。つまり、人様に頼らず、勤労・倹約し、自助努力で生き延びることを美徳とする思想で、江戸時代から私たちの社会に深く根を張り、今も当たり前の前提となっている。

しかし、この前提が今後も通用するかは疑わしい。自己責任社会においては、政府のご厄介になることは恥ずかしいことだ。だから生活が苦しくても社会保障に頼ればいいという発想は生まれにくい。自己責任の呪縛が社会のあちこちで人を苦しめている。

―具体的には。

井手 例えば、生活保護の捕捉率(生活保護を利用する資格のある人のうち利用している人の割合)は、日本は15%程度だが、フランスは約9割、スウェーデンは約8割となっている。先進国では「生活保護は当然の権利」とみなされているが、日本では「生活保護は恥」と考える人が少なくない。

また、日本国内の自殺者数は1998年以降、14年連続で3万人を超えた。多かったのは40~60代の中高年男性だった。不況下で心を病んだり、経済的に追い込まれたというのが理由だ。

自己責任社会は行き詰まっている。現役世代が安心して暮らせるよう支援を手厚くすべきだ。この点、政府が全世代型社会保障を掲げ、教育無償化に乗り出したことは評価できるし、正しい方向だ。

[提案]医療や介護など無償化し 貯蓄ゼロでも不安ゼロに

―新しい福祉社会像は。

井手 僕が提案したいのは”貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会”だ。具体的には、①ベーシック・サービス②ディーセント・ミニマム(品位ある保障)―の二つを政策の柱とし、人間の「生存」と「生活」を徹底的に保障する構想だ。

ベーシック・サービスは、医療や介護、育児、教育、障がい者福祉といった「サービス」を必要とする全ての個人に無償で提供する。所得制限は設けないため、弱者にとどまらず、中高所得層まで幅広く受益者にできる。何より、低所得者層が、気がねなく堂々とサービスを利用できる。

似た手法として、全ての個人に一定額の現金を給付するベーシック・インカムがあるが、ベーシック・サービスの方が、はるかに限られた財源で済む。なぜなら、保育所がタダだからといって高齢者は利用しないし、自由に歩行できる人は車いすを欲しがらないように、必要(ニーズ)があってのサービスだからだ。全員の命をお金で保障すると膨大な財源がいる。

―ディーセント・ミニマムとは。

井手 ベーシック・サービスにより、生活保護のうち「医療扶助」「教育扶助」「介護扶助」はいらなくなる。屈辱の領域を最小化し、食費や光熱費にあてる「生活扶助」、なぜか日本にない住宅手当を整え、品位ある生命の保障を行う。

―財源は。

井手 要するに、自己責任の下、貯蓄で不安に備えるか、税を通じて社会全体で備えるかだ。ベーシック・サービスの財源を消費税だけで賄うには16%程度まで引き上げる必要がある。さらに財政健全化までめざすなら、プラス3%。実際は、所得税の累進度を高めたり、相続税の引き上げなど、全体として税負担の公平性を図っていくことで、消費税率の引き上げ幅を抑えることもできる。

今の社会の最大の課題は、競争の輪の中に加われないままに人生が決まる人たちがいることだ。”貯蓄ゼロでも不安ゼロ”の社会が実現できれば、スタートラインがそろい、競争を通じて所得格差が生まれても許容できる。そういう社会を子どもたちに残したい。

 

(岡山・総社市)ひきこもり 顔の見える支援

2020(令和2)年2月7日(金) 公明新聞7面

全国で115万人と推計される「ひきこもり」。支援の手が届きにくいことから”地域福祉の最後の課題”ともいわれる。その課題と真正面から向き合い、これまで30人以上のひきこもり当事者の社会参加を支援してきた岡山県総社市の取り組みを紹介するとともに、市の対策をサポートしてきた識者に話を聞いた。

地域で支えて、社会参加33人

総社市役所から徒歩5分ほどにある常設型の居場所「ほっとタッチ」。ひきこもり状態にある人が一歩外に踏み出すための受け皿として、民家を借り上げたものだ。利用時間は午後3時から5時で、いつでも、誰が来てもいい。

「よう来たねぇ!」。この日、3時になると、すぐに2人の男性が入ってきた。ひきこもりサポーターの山本繁さん(76)は、ホットコーヒーを差し出しながら、「最近どうしよった?」と話し掛けた。

山本さんは月2回ほど当番に来ている。最初は何も話さずゲームばかりしていた人も、「こっちに来て話そうや~」と声を掛けるうちに会話の”キャチボール”ができるようになった。個人的な相談をしてくる人や、就労に踏み出した人もいる。

 

サポーター常駐

ほっとタッチには、平均して1日4人程度の利用者が訪れる。サポーターは当番制で2人常駐し、お好み焼きパーティーなどのイベントも開催する。

サポーターは市社会福祉協議会(以下、社協)が実施する年5回の養成講座を受講すれば登録でき、現在80人近くいる。月1回の定例ミーティングでは、ほっとタッチ利用者の情報を共有し、課題解決へ知恵を出し合う。

現在、国の事業として都道府県や政令市には「ひきこもり地域支援センター」が設置されているが、対象者が多過ぎるため、きめ細かな支援は難しい。この点、総社市は身近な地域の人たちがサポーターとなり、支えていく”顔の見える支援”が特長だ。

 

少なくとも207人

同市がひきこもり支援を始めたきっかけは、2014年に立ち上げた生活困窮支援センターに次々と寄せられる相談だった。「働き盛りの息子がひきこもってお金に困ってるといった相談が多かった」(市福祉課)。200件のうち、40件余りはひきこもりに関する内容だった。

社協は15年8月、学識者や市幹部職員、NPOなどで構成する「ひきこもり支援等検討委員会」を設置し、「ひきこもりとは何か」から議論を重ねた。16年1月からは、地元の事情に精通し、市に700人以上いる民生委員や福祉委員が各地区ごとに集まり、匿名で情報を出し合う方式で実態調査を実施。その結果、市内に少なくとも207人のひきこもりの人がいることが分かった。

 

相談6401件

17年4月には、社協への委託事業として市独自のひきこもり支援センター「ワンタッチ」を開設した。当時、一般市レベルでのセンター設置は全国的に珍しかった。専門職員を2人配置し、相談支援のほか、ボランティアやハローワークへの同行支援、サポーターの養成、居場所や家族会の運営など幅広い活動を行っている。

同センターへの相談件数は、昨年12月末時点で6401件に上る。内訳は、▽訪問1372件▽来所2500件▽電話2117件▽メール412件だった。センターの支援を受けて、ボランティア体験や就労、進学といった形で、これまで33人が社会参加している。

日下部祐子センター長は、「ひきこもりは個人ではなく社会全体の問題。これまで精神保健や医療の面での支援が主だったが、身近な地域の人たちが手を差し伸べて支えることが重要だ。ひきこもりの方々が、社会へ踏み出そうと思える地域づくりを今後も進めていきたい」と語っている。

 

(千葉・松戸市)保護者の通勤時 幼稚園児を駅前預かり

2018(平成30)年8月29日(水) 公明新聞7面

「子育てしやすいまちづくり」を最重要施設の一つに掲げる千葉県松戸市は、3年連続(4月1日時点)で待機児童ゼロを達成するなど、多彩な取り組みが功を奏している。働きながら子育てする市民を応援するため、今年4月には幼稚園児を受け入れる「新松田駅前送迎保育ステーション」をオープンさせ、保護者から喜ばれている。市議会公明党(城所正美幹事長)の9人と党松戸総支部の篠田哲弥副青年部長(いずれも市議選予定候補)が同ステーションを視察した。

送迎保育ステーション好評

江戸川を挟んで東京都と隣接する松戸市は、都心まで20キロ圏に位置し、30分程度で電車通勤できる。共働き世帯が多く、公明党の推進もあり、市は保育の受け皿の確保ときめ細かい支援に力を入れてきた。

「新松田駅前送迎保育ステーション」の保育サービスは、月~土曜日まで、幼稚園に通っている時間を除く7~19時まで実施。朝は保護者が通勤前に園児を同ステーションに送り届けてから幼稚園バスが迎えに来るまで、夕方は幼稚園バスが園児を同ステーションに送り届け、保護者が迎えに来るまでの時間帯となる。

受け入れの対象は、今のところ市内にある大勝院幼稚園と、みやおか幼稚園に通園する市内在住の3歳児から就学前までの園児。保護者の就労時間が月56時間以上で、保育が必要なことを条件としている。料金は毎月1000円。保育士やチャイルドマインダー(保育サービスの専門家)が2人以上常駐し、子どもたちを預かる。

同ステーションによれば、現在は大勝院幼稚園に通園する園児3人が利用。保護者の一人は「ベビーシッターなどをやりくりして、幼稚園に通わせていたため、大変に助かった」と喜んでいた。

また、同ステーションができた地域は、就学前の子どもを持つ保護者の共働き率が50%に上り、保育ニーズが高いのが特徴。市の担当課は「幼稚園の送迎保育が始まったことを周知するとともに、送迎できる幼稚園を拡充し、利便性を高めていきたい」と話している。

多彩な施策で3年連続待機児童ゼロ達成も

松戸市は昨年6月、市内の全23駅に駅ナカ(駅構内施設)もしくは駅チカ(駅から徒歩5分圏内)小規模保育施設の整備を完了し県内最多の60ヶ所を超えるまでに拡充。保護者の相談に応じて、希望する保育所とのマッチングを行う「利用支援コンシェルジュ」や、保育園児向けの「送迎保育ステーション」などのサービスを展開してきた。各種事業を推進する中で、3年連続待機児童ゼロを達成。昨年12月には、日本経済新聞社と日経DUALの共同調査による「共働き子育てしやすい街ランキング2017」の全国編(東京を除く)で1位に輝いた。

待機児童の解消に向けては市議会公明党が2014年から代表質問などで小規模保育所の整備をはじめ多様な生活スタイルに対応した保育サービスの必要性を訴えていた。また、15年12月の一般質問で「親戚などの援助がない保護者にとって送迎支援は重要だ」と訴え、幼稚園に通う園児が利用できる送迎保育ステーションの整備を求めていた。

城所幹事長は「今後も子育て支援の充実にきめ細かく取り組んでいく」と語っていた。

公明新聞 2018/08/29

「日米地位協定の課題」公明党が申し入れた提言とその背景

2018(平成30)年8月28日(火) 公明新聞3面

米軍基地への日本の立ち入り権必要

沖縄県では米軍機の事故が続き、警察が事故現場に入れないなど、改めて日米地位協定のあり方を問う声が上がっている。公明党は3月、遠山清彦衆院議員を座長とする日米地位協定検討ワーキングチーム(WT)を設置して調査・研究を進め、米軍基地への「立ち入り権」明記などの提言をまとめ、8月3日に政府に申し入れた。WTでの議論を通じ、日米地位協定の課題を解説する。

依然続く事件・事故 運用改善では限界も

軍隊が外国に駐留(ちゅうりゅう)する場合、軍隊の派遣国と駐留を受け入れる国との間でさまざまな取り決めが行われる。米軍の日本駐留に関する取り決めが日米地位協定である。

1960年に発行した日米地位協定は、在日米軍による施設・区域(いわゆる米軍基地)の使用を認めた日米安全保障条約第6条を受けて結ばれた条約であり、米軍基地の使用のあり方や日本における米軍の地位を定めている。

この中で、公務執行中の米兵の犯罪は、米側に第1次裁判権があることや、米軍基地の運営などに必要な管理権が米軍に認められている。

これに対し、「日本に不利な協定」との批判も根強い。

特に、米軍人や軍属(米軍に雇用されている軍人以外の米国人)による犯罪や軍用機の事故が繰り返される沖縄県では、犯罪捜査や事故調査で日本側が主体的に行動するには日米地位協定の改定が必要との声が多い。

しかし、改定は実現せず、運用改善が進められた。

例えば、日本が第1次裁判権を持つ犯罪でも容疑者である米兵の身柄が米側にある場合、日本への身柄引き渡しは起訴(きそ)後と定めてあるが、殺人や強制性交等罪(旧・強姦罪)など重大犯罪では、起訴前の身柄引き渡しについて好意的考慮(こうりょ)を払うことが23年前に決まった。これまで起訴前の身柄引き渡しは5件実現したものの、米軍頼みであり、限界があるとの意見もある。

改定求める沖縄 海外調査し問題提起

日米地位協定に関する課題と日常的に向き合っているのが、全国の米軍専用施設面積の約70.6%が集中し、米軍人による事件や米軍機の事故が続く沖縄県である。沖縄県は、これまでも日米地位協定の改定を訴えてきたが、今年、米国と地位協定を結ぶドイツとイタリアで現地調査を実施し、改定について問題提起をした。

公明党のWTは6月、沖縄県から調査結果を聞いた。

その中で、ドイツでは地位協定改定が、イタリアでは新協定の締結が実現した事実が報告された。それらが実現した背景として同県は「両国とも大事故の発生で世論が高まった」と述べ、日本でも国民的な関心が重要と訴えた。同県はまた、両国とも米軍基地への立ち入りが可能なことを示し「日本は米軍に排他的(はいたてき)管理権を認め、立ち入りが自由にできない」と指摘し、「一番の問題だ」と訴えた。

WTはこのほかに外務省や国会図書館の専門家、また、党沖縄県本部を始め、米軍基地のある自治体の議員からも情報を得て、日米地位協定改定への課題をまとめた。

公明党が申し入れ

WTの検討を踏まえ、公明党は、日米地位協定改定への5項目の提言をまとめ、政府に検討を申し入れた。

【起訴前の身柄引き渡し】
運用改善で実施されている起訴前の身柄引き渡しに関する「好意的考慮」を、地位協定あるいは補足(ほそく)協定などで明記すること。

【基地への立ち入り権】
地位協定に明記のない日本政府・自治体の立ち入り権を適切な手続きの下で原則認め、特に、犯罪捜査・環境調査の場合はスムーズに認められるようにすること。

【訓練演習への関与】
ドイツ、イタリアでは米軍の訓練演習には受け入れ国の許可・承認が必要だが、日本には規制する権限もなく、実施日時・場所が通報されることも少ない。「騒音軽減委員会」を設置し、訓練演習に住民の意見を反映させること。

【事故時の対応】
米軍の事故現場に警察・自治体が立ち入れるようにすること。

【日米合同委員会】
合意内容を原則公開とすること。

あるべき協定の姿めざす 党WT座長 遠山清彦衆院議員

公明党はこれまでも日米地位協定の改定や、沖縄の基地負担軽減などを日米両政府に改善を求めてきた。

その過程で、運用改善だけでなく、日米地位協定の下で初となる補足協定も実現した。米軍基地内外での環境対策を進める2015年締結(ていけつ)の「環境補足協定」と、軍属の範囲を定めた17年締結の「軍属に関する補足協定」だ。

しかし、依然として米軍人による事件や米軍機の事故が続く状況を踏まえ、再度、あるべき日米地位協定の姿を議論し、具体的な改定項目をまとめたのが今回の政府への申し入れである。米軍基地への立ち入り権の明記など実現へ努力したい。

公明新聞 2018/08/28

(埼玉・さいたま市)自治体に広がるAI(人工知能)活用

2018(平成30)年8月17日(金) 3面

行政サービス向上めざす

高齢者人口がピークを迎える2040年ごろの行政のあり方を検討してきた総務省の研究会は先月、報告書を公表。労働力の大幅な減少をAI(人工知能)などの先端技術で補い、役所の昨日を維持する「スマート自治体」への転換の必要性を指摘した。AI活用で先行する自治体の動きを追った。

保育所の入所選考 さいたま市で実験

「30人で50時間」の作業 数秒で終了

富士通研究所と九州大学などが昨年、さいたま市の協力を得て実施した保育所の入所選考におけるAI活用の実験で、毎年約30人が50時間かけて行っている保育施設の割り振りを決める作業がわずか数秒で終了し、注目を集めている。

さいたま市の入所選考は、保護者の状況などを点数化する一般的な手法に加え、2人以上の子どもを同時に申し込む際の希望も考慮して施設を割り振るため、特に複雑で手間のかかる作業になっている。

今回の実験では、2017年4月入所を申請した約8000人分のデータを使用。93%が手作業の結果と一致した。これに対し、さいたま市は「人手による選考と同等であり、完璧に近い」とコメント。職員の負担が大幅に軽減される上、申し込んだ人に早く結果を通知できる、と高い期待を寄せている。

一方で、市保育課はシステムの導入に慎重だ。仲(なか)陽平主事はAIを活用するメリットを認めつつも、「落選者をケアする際、『惜しかった』などの感覚的な話は職員が直接選考に携わっていないと分からない。結果だけでなく、局面ごとにAIがどう判断したのか見えるようにする必要がある」と課題をしてきしている。