不登校生のオンライン学習 出席扱いで学ぶ機会広げよ

2020(令和2)年12月3日付 公明新聞3面

不登校の児童生徒が、オンラインで自宅学習できる取り組みについて、文部科学省は、学校の判断でオンライン学習でも出席扱いとするよう通知していえるが、実際に出席が認められたケースは少ない。子どもの学びの機会を広げる観点から、公明党は国会でも取り上げ、制度の活用を主張した。この問題に詳しい全国不登校新聞社の石井志昂(しこう)編集長のコメントも紹介する。

「GIGA構想」機に制度活用さらに

05年に通知発出もわずかにとどまる

文科省は2005年、不登校生がインターネットなどを活用して自宅学習をしたり、学校外で指導を受けたりした場合、一定の要件を満たせば校長の判断で出席扱いにする通知を発出。19年10月にも改めてオンライン学習を出席扱いと認めるよう通知している。

年間30日以上登校していない不登校の状態にある児童生徒は19年度、18万1272人に上る(10月発表、文科省調査)。7年連続で増えており、過去最多だ。

一方で、ネットを活用した自宅学習で出席扱いとなっている児童生徒数は、18年度286人、19年度608人と増えているものの、不登校の児童生徒の総数に比べれば、わずかにとどまる。

公明党の竹内議政務調査会長は11月2日の衆院予算委員会で、この間題を取り上げ、「学校のICT(情報通信技術)環境整備が不十分などの理由で、(オンライン学習でも出席扱いとなる制度の利用が)極めて低い状況にある」と指摘。子どもたちの学びを保障する「GIGA(ギガ)スクール構想」により、来年4月から全ての小中学生に1人1台の端末が整備されることを踏まえ、希望する不登校の子どもたちが同制度を活用できるよう促すべきだと訴えた。

導入進む自治体も

大分県教育委員会は今年6月から、外に出られない不登校の児童生徒が、アニメを活用したオンライン授業で学習できる取り組みを始めた。

県教委では、パソコンやタブレット端末で学べる民間のオンライン教材を導入した。この教材には、先生役のアニメキャラクターが登場し学習を進める。人聞が一切登場しないのが特徴だ。実際に人と対面で会話することが苦手な児童生徒でも負担なく勉強ができるよう配慮し、教材を選んだ。当初、30人程度の利用を想定したところ、40人以上が教材の活用を始めた。

児童生徒のサポートは、教員経験がある家庭学習支援員が担当する。学習状況を把握し、学校や保護者に共有する役割を担うほか、メールを通じて、教材の操作方法などの質問にも応じている。県教委の担当者は、「意欲的に学んでいる生徒が多い。今後、学習内容を充実させていきたい」と話す。

長野県松本市教委は今月から、不登校の小中学生を対象に、スマートフォンなどを使ってオンラインで教員やスクールカウンセラーとの授業や面談を行った場合、出席扱いにすることにした。

これまでは、学校の内外で学習できる教室を設けていたが、「自宅や自室から外に出ることが難しい児童生徒もいることから、安心して学べる環境を整えた」(担当者)。

熊本市教委は、新型コロナウイルスの感染拡大で一斉休校になったことを機に、オンライン会議システムを活用して授業を配信。不登校の児童生徒も授業に参加したことから、現在も希望する児童生徒に授業の配信を行っている。

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