道路交通法が改正されて

今日のニュースでは、国会で改正道路交通法が可決・成立したことが報じられました。

これは75才以上のドライバーが3年毎の免許更新の際、認知症の検査で疑いがあるとされれば、免許停止あるいは取り消しとなるものです。

実際に私の住む地域の方で、まだ50代くらいの男性ですが、立て続けに2台の車から停車中に追突され、重傷を負ってしまった方がいます。男性はその為に仕事ができなくなり、現在はやむなく生活保護を受給して暮らしています。その追突してきた車の2台とも、運転していたのはいわゆる後期高齢世代。ともに判断能力に問題があったようです。こうしたことを聞くにつけ、今回の法改正はやむを得ないと思います。

しかし問題は、その後の移動手段をどうするのかということ。中心市街地に住んでいて公共交通が整備されているのなら、免許がなくても問題はないかもしれません。そのような場所に住まない方の移動手段としては、真っ先に考えられるのは自転車だと思います。これはご存知の通り、今月1日よりこれも改正された道路交通法の施行によって、取り締まりが強化されました。近年、自転車での重大な事故が続いたことから行われるものです。そういった環境を考えると、高齢者は自転車に、とも簡単に言い難い。

ではバスの整備を拡充できるのか、というと、これはどこの自治体も大変厳しいわけです。

立川市でもコミュニティバスを運行していますが、もとより民間バスが収益にならないから走らない、というルートを運行するのですから、運賃収入だけではやっていけません。年間1台1,000万円の予算をかけてコミュニティバスを走らせています。予算的にこれ以上増やすことはできないのが実情です。

しかし移動手段を整備しなければ、今後多くの高齢者が移動困難となってしまいます。家にひきこもることになってしまえば、健康面だけでも悪影響が大きい。その為、今日成立した改正道路交通法では、移動手段もしっかり確保しなさいよ、ということも付け加えられました。さぁ、これも「言うは易く行うは難し」です。

先日、初めての「公共交通白書」が出されました。今回は地域公共交通の成功事例集となっているようです。全国に広がるくらいの成功例になるかどうか分かりませんが、まずはこの立川での成功例をつくれるよう、頑張ってまいります。

アップルミュージックと公営競技

今日も引き続き、一般質問の準備に追われる。まさに文字通り、追われています。どのような組み立てで質問をするのか。どんな事例を引用して具体的な提案をしていくのか。一つの質問をするにも、悪戦苦闘していることを知っていただけると、労が報われる気がします。

さてそんな中、今日のニュースでアップルが聴き放題の音楽配信サービス「アップルミュージック」を今月30日から、日本を含む世界100カ国以上で開始することが報じられました。

これによるミュージシャン側の収益構造がどうなるのか分かりませんが、収入増には繋がらないのではないか、と危惧します。CDが売れなくなって久しいですが、iTunesでの音楽配信でも収益が上がらないことを、ちょうど1年ほど前にスガシカオさんがtwitterで告白していました。アップルミュージックが音楽配信の主流になったとして、アーティスト側の事情は悪くなることはあっても、良くなることはおそらくないでしょう。

先日、掲載された芥川賞作家の柳美里さんのインタビューのなかで、『「書くことだけで食べている作家は30人ぐらいではないか」という話を聞いたのですが、かなりリアルな数字だと思います。』という衝撃的な言葉がありました。音楽だけでなく文学の世界でも、文字通り生き残るのに必死だと感じます。

<柳美里さんインタビュー>
http://biz-journal.jp/2015/05/post_10102.html

日本の芸術活動は危機的な状況を迎えているようです。いや、日本だけではないようですが、いわゆるトップレベルのアーティストでも、作品だけで生活することは極めて困難なのが実情です。

そろそろ、本腰を入れて芸術支援をしていかないと、多くの貴重な才能を私たちは失ってしまうことになります。

しかし、支援には必ず財源を必要とします。じつはこれまで、その財源の一つとして、公営競技の収益が充てられてきました。とはいえ、その割合はとても大きいとは言えない。

それを日本版カジノの整備が検討されているのなら、その収益を財源にして芸術振興をしてはどうか、という主張が10年以上前からされてきました。

その際にたびたび引用されるのが、2003年に当時、UFJ総合研究所 芸術・文化政策センター主任研究員であった太下義之氏の論文「公営競技を財源とする芸術文化支援~第二の税金としてのギャンブルに関する考察~」です。

立川は全国でも有数のパブリック・アートのまちです。その立川市が行っている公営競技である競輪事業を、芸術・文化支援に繋げられないだろうかと、思案しています。

解散・総選挙を前に

本日11月17日、公明党は結党50周年を迎えました。

都内では50周年を祝賀する会が開かれたようですが、少し前まではこの会合も新たな50年へ向けた出発と、その第一陣として来年の統一地方選の決起大会となる予定だったと思います。
しかし急に吹き出した「解散」風に、まさに政治とは常在戦場であることをあらためて実感する日となりました。

さて、報道では明日にも安部首相は衆議院を解散するのでは、と言われています。
ここに至っては、1日発表が遅れるごとに総理の決断力が疑われることになりますので、それを考えると明日、解散を宣言するという予測は妥当だと思います。

今回の総選挙は、アベノミクスの是非とともに、消費税を来年10月に上げるべきかどうかを国民に問う、というものになるでしょう。

本日発表された7~9月GDP速報値が予想以上に低かったことは、市場も含めた日本全体に衝撃を与えました。
さらにその前に安部首相が出席したG20の会合でも、世界経済の成長の足を日本が引っ張っていることを名指しで指摘されました。私の個人的な予想としては、このG20で安部首相は経済成長の為の何らかの約束、具体的には消費税増税を延期することを各国に約束して帰ってきたのではと思っていますが、いずれにしても4月の消費税8%増税が、日本経済が停滞してしまった要因ではないか、という見方は大勢です。

この消費税増税。これについては公明党も賛成していましたし、この後10%へ上げるかどうかという議論のなかでも、山口代表は予定通り上げるべきだ、と繰り返していました。社会保障費が毎年1兆円ずつ増加するなかで、少子高齢化が急速に進む。その対策のためには財政支出をしなくてはなりませんが、どうその収入を確保するのか。景気回復で税収を増やすのは当然のこととして、同時に財政再建、つまり後世に負の遺産を残さないためにも増税はやむを得ないという判断でした。しかし公明党が主張していたのは「軽減税率とセットでの増税」です。

今回のGDPショックと言われる7~9月の速報値。民間需要と呼ばれる一般家庭の消費では、自動車、パソコン、白物家電といったものがGDPのマイナス要因だったと説明されています。さらに住宅投資、つまり家が売れないことが大きな要因となりました。これは、家庭での消費が生活必需品に限定されているということです。庶民がまずは毎日の生活を重視するのは当然でしょう。その毎日必要な生鮮食品が増税によって実質の値上がりをすれば、生活防衛のために心理的に財布のひもは固くなってしまいます。たまのプチ贅沢は許せるけれど大きな支出は控えておこう、としたことが白物家電などの売れ行きに大きく影響したものと考えます。

景気は実際の家計の数字もさることながら、心理的な側面が大きく影響します。

そうした家計への実際の負担と心理的な影響から、公明党はこの消費税増税に際しては軽減税率の導入を強く求めてきました。
軽減税率とは生活必需品などの税率を、それ以外のものよりも低く(軽減)設定するものですが、8%導入時には見送られてしまいました。

歴史と同じように、経済対策に「もしも」を使うのは後出しジャンケンのようで好きではありませんが、もしも8%導入時に軽減税率を導入していれば、心理的にも家計的にも民間需要への影響は小さかったはずです。

マスコミの報道が正しければ、消費税は「2017年4月に10%」と延期されるようですが、報道では同時に、この10%に上げる際に軽減税率を導入することを検討されているとのことです。同じ轍を踏まない為に、これは公明党の責任で何としても実現しなくてはならない。

今回の選挙はアベノミクスの是非が争点になるだろうと申しましたが、アベノミクスの3本の矢のうち、今放たれている2本は正しかったと思います。最後の1本、これは成長戦略ですが、生活実感の上に立った成長戦略は公明党しかできない、と強く訴えたいと思います。

言葉の力

10月9日・10日の2日間、高知県高知市で第76回全国都市問題会議が開催され、全国から集まった区市議会議員とともに出席しました。この全国都市問題会議は毎年1回開催され、地方自治や都市問題についての研修が行われます。この会議の第1回目は昭和2年ということで、大変歴史あるものでもあります。

ところで今回訪れた高知の偉人と言えば、坂本竜馬。坂本竜馬好きといえば有名なのは俳優の武田鉄矢さんです。その武田鉄矢さんが司馬遼太郎著「竜馬がゆく」を手に取った18才のときの衝撃から始まり、60才を過ぎた今でも、この一書との出会いが自身の〝中心線〟となっていると語る、まさに本が自身の血肉となっていく様が伝わってくるのが、武田鉄矢さんが書いた「私塾・坂本竜馬」。この本は、武田鉄矢さんが語りかけてくるような文章です。まさに金八先生のクライマックス、生徒に長尺で語りかけるあの場面が、本として展開されていきます。

実はその金八先生の語り口。これが竜馬から学んだものだということが、この中で述べられています。

「竜馬がゆく」に登場する重要人物の一人、桂小五郎。物語のなかで彼は竜馬についてこう述べます。

『口から出る言葉の一つ一つが人の意表をつくのだが・・・人をわなにかける言葉ではないのである。自分の腹のなかでちゃんと温もりのできた言葉だからで、その言葉一つ一つが確信の入った重味がある』。

この言葉を読んだときから、武田鉄矢さんは、この竜馬の声を会得しようと自分に命じたそうです。「要領はひとつ、いつも竜馬を心に置いておくこと」。

あの金八先生を演じたとき、武田鉄矢さんが生徒に人生などを説く時に課題としていたことが、「言葉を自分の腹の中で温め、自分の体重をかけて一つ一つ」「生徒の心に置きにゆくこと」だったそうです。金八先生の数々の名場面は、そうして出来上がっていったのですね。

政治家は言葉が命、とよく言われます。はたして、坂本竜馬のように「腹の中で温めた言葉」で語れるかどうか。言葉の力が試されているようです。