平成27年第3回定例会(2015年9月25日) 議事録より
◆6番(大沢純一君)
現状では、市営住宅というのは市営住宅条例第6条にあるように、同居する親族がいることが必要条件で、例外として一定の条件にある場合に単身での入居が認められるという、こういうことになっております。
この同居する親族には、内縁関係も含まれるわけですけれども、現在の制度ではこの家族、内縁をどういった形で証明、入居する際に証明しておりますでしょうか。
◎市民生活部長(渡辺晶彦君)
これは、住民基本台帳法上、内縁という申し出がある場合は、住民票の続柄の欄に「妻(未届)」、また「夫(未届)」というそういう記載をいたします。この場合は、住民票によって内縁が証明されるということになります。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
家族、内縁関係を証明するものは住民票ということですね。わかりました。
ここで、同居する親族がいること、つまり同居親族要件は、これまで公営住宅法で掲げられてきたわけですけれども、平成23年に地域主権一括法が公布されたことによって公営住宅法が改正されまして、同居親族要件が公営住宅法のもとでは撤廃をされました。
地域主権、地域分権のもと、この判断は法律ではなくて各自治体に委ねられたわけであります。
この同居親族要件があるために、これまで市営住宅入居の応募もできなかった方がいると思いますが、市の御認識はいかがでしょうか。
◎市民生活部長(渡辺晶彦君)
市営住宅の募集では、条例の第6条第1項第2号というところに、同居親族の要件というのが規定されております。単身者につきましては、この同条第2項のところに、60歳以上の高齢者、または車椅子世帯、生活保護被保護者、DV被害者などの福祉単身世帯、このような要件があります。
この要件以外では、現状としては同居親族要件がこれは必ず必要になるという、そういう状態でございます。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
つまり、セーフティネットとしての住宅に現在は応募もできない市民がいると、そういう年齢層、いわゆる60歳未満で単身というそういった特別に事情はないという、こういう方々が、今としては応募ができないと、そういう年齢要件があるということです。
これは、以前の一般質問でも申し上げましたので、問題意識としては共有していただいているというふうに思っております。
この60歳未満で居住の安定を図らなくてはいけないという市民は、残念ながら現在の社会状況のもとではまだまだ少なくないというふうに思うわけでありますけれども、そうであるならば、本市住宅セーフティネットとして、まずはこの単身者の年齢要件を撤廃するという考え方がやはりあると思いますけれども、これについて改めて見解を伺います。
◎市民生活部長(渡辺晶彦君)
住宅募集における単身者の年齢条件につきましては、これは市営住宅条例の先ほども言いました第6条の第2項第1号に、60歳以上の者という規定がございます。これを、直ちに変更するということは困難な状況だというふうに考えております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
あるいは、もう一つの考え方、アプローチとしては、先ほど申し上げた公営住宅法では撤廃されたこの同居親族要件、これを本市の入居資格から外すというやり方、これも考えられるのではないかと思います。
繰り返しになりますけれども、これは法律ではなくて、各自治体の主体性に委ねられたわけであります。
現在は同居親族がいることが入居の前提で、例外的に高齢者、先ほども御答弁ありましたけれども、高齢者、単身世帯などの入居を認めているという、こういうわけでありますけれども、この同居親族要件を撤廃すれば、この前提条件がなくなるわけですから、これでいわゆる例外も必要がなくなると、そういうことになると思います。ということは、例えば単身者の若者単身者が本市でいえば単身向け住宅に応募できると、こういうようになるわけであります。
ただ、同居親族要件を、たとえそれでなくしたとしても、住宅の区分は単身者向けと家族向けというこういうことが今現在なっているわけで、部屋の広さも違うと、そういうことになっていると思うんですけれども、では、そうしたときに、家族向け住宅への入居をどうするかといった、どういった世帯を対象とするのかという課題が発生すると思います。
住宅セーフティネットでは、公的住宅と位置づけられているURでは、近年ハウスシェアリング、これを認めていますけれども、これはそれぞれ生計を営む個人が他人と共同生活をして、生活費、住宅でいえば家賃を共同で負担するのがハウスシェアリング、ルームシェアリングということになると思いますが、URというのは、もともとの家賃が民間住宅並みと、こういうことでありますから、このハウスシェアリングという考え方、これも認められると思うんですけれども、低家賃である市営住宅でこれを行うというのは適当ではない、そういうふう考えるわけであります。
それでは、この親族以外との同居の場合、家族向け住宅の入居をどういった条件でこの場合は、じゃ認めるのか。ここで考慮したいのが、先ほど家族向けの住宅に入居を希望する際の、これまでの基準、つまりさっきの答弁にありましたとおり、市営住宅の入居に際しては、これまで住民票上の同一世帯ということで、家族、内縁を証明してまいりました。
この住民票上で世帯を同じくするというのは、単なる同居よりも明確な意思を持っていると考えられます。
例えばルームシェアリング、ハウスシェアリングでしたら、例えば住民票が別々で例えば同じところに住む、こういうことはあるわけですけれども、一つのところに住むに当たって、住民票上で世帯を同じくするというのは、やはりこれは一つの意思なのかなというふうに思います。つまり、人生というか事実上の生活をともにするというこういう意思を持っているというふうに思うわけです。
もちろん住民票が同じというだけで、余り善意に捉え過ぎても、また広義に適用し過ぎてもいけないとは思いますけれども、契約の段階で責任を明確にすれば、この市営住宅の入居ということでは、問題ないのではというふうに思います。
そこで、同居親族要件を外して、住民票上の同一世帯という基準を家族世帯とみなして応募できるようにすべきと考えますが、これについて見解を伺います。
◎市民生活部長(渡辺晶彦君)
住民票上の同一世帯という基準を家族世帯とみなして応募できるようにするという、そういうお考えだと思いますが、これ世帯単位の収入認定の考え方とか、また使用料減免の考え方、それから現在の入居者とそれからそういう形で入った入居後の環境変化の対応などで、住宅の管理する側としてはさまざまな要素について検討していく必要があるというふうに思っております。
本市においては、現在現状では一定の親族で構成される世帯を想定して各管理を行っており、また、承継の際にどういうふうになるのか、混乱を生じることも考えられるということもありますので、直ちにこの考え方に変更するということは現時点では考えておりません。
なお、東京都においても、入居資格には同居親族がいることというのを要件としているというふうに聞いております。
以上です。
◆6番(大沢純一君)
先ほど申し上げた60歳以上という単身者の年齢要件、そしてこの同居親族要件、確かにハードルは低くはないということは理解しておりますけれども、この二つはどちらも本市の条例で定められておりまして、これ先ほど御答弁ありましたが、この都営住宅条例と同様の要件ということも確認しております。
だからといって都の条例に縛られているとは思いませんけれども、参考にしているとしても、これは都に準じないといけないというわけでもないと思いますので、条例改正もしっかり視野に入れていただきたいことを、これは要望いたします。
これは何のためかと申し上げれば、再三申し上げているセーフティネットという考え方なんですが、現代はライフスタイルや価値観も多様なわけですし、そういった価値観の違いで市民がセーフティネットから漏れるということがあってはならない、こういうふうに考えるわけです。
先ほど伺ったように、住宅に困っているのに市営住宅に応募さえできないという市民がいるというのも、これも現状なわけですから、セーフティネットの網の目から漏らさないという、こういう一点に立って、この制度の整備をしていただきたいことをこれは強く要望させていただきます。
平成31年第1回定例会(2019年2月28日)一般質問
◆6番(大沢純一君)
セーフティネットとしての居住支援のあり方について伺います。
これまで、私はセーフティネットとしての住宅、市営住宅のあり方について何度も議会でただし、提案してまいりました。その理由は、これまでの繰り返しになりますが、本市のさまざまな福祉施策も住所が定まって初めて受けられるものであるためです。住まいとは生活の基である福祉の基です。そして、その人生を受けとめる役割として公営住宅があります。つまり、公営住宅はセーフティネットとして重要な存在です。
ところが、このセーフティネットにアクセスできない、応募すらできない市民がいることをこれまで指摘してまいりました。このことについてどのように考えているのか、お示しください。
◎市民生活部長(井田光昭君)
市営住宅入居に係る同居親族要件の御質問でございます。
御指摘のように、市営住宅条例第6条の同居親族要件及び例外の規定があるため、親族ではない同居の場合や60歳未満の単身者の方など、応募できない市民がいらっしゃることは認識してございます。
また、同居親族要件については検討課題であるというふうに考えてございます。以上です。
◆6番(大沢純一君)
状況説明ではなく、どう思うかということをお聞きしたかったんですけれども、それ以上は、とりあえず今は伏せておきましょう。
これまで申し上げてまいりましたけれども、セーフティネットとしての公営住宅。先ほど答弁にもありました本市の市営住宅ですけれども、原則として同居する親族があることが入居資格となっております。
その上で、例外として、単身の方でも60歳以上であったり、また障害を持っていたり、生活保護を利用している場合などの場合は入居資格があります。
では、先ほどから申し上げているセーフティネットに応募すらできない市民、これは改めて申し上げたいと思います。スクリーンをごらんください。
一つは、60歳未満の単身者です。障害があるわけでも、生活保護を利用しているわけでもないけれども、所得も低くて、また民間の賃貸住宅では生活における家賃比率が高くて、いわゆる民間住宅は高くて住むところがない、困っているという、こういった独身の市民というのが、こういう場合に当たると思います。
そしてもう一つが、婚姻関係の結べない者同士。つまり、性的マイノリティーなどの同性パートナーで、こういった方は入居を求めても、この原則である親族という法関係がない。
こういった方々は入居資格ありませんので、セーフティネットである市営住宅に応募すらできないという、こういった現状です。
ここで誤解していただきたくないのは、私はこうした方々を優先的に入居させるべきだ、こういったことを言うのではありません。住宅戸数が現実的に限られていて、その中で入居者が何倍といらっしゃるわけですから、抽せんになるのは、これはやむを得ないと思います。ただ、しかし、現状はこういった方はここの抽せんに応募すらできない、こういった状況を問題ではないのかと、こういった課題意識で申し上げているわけです。
では、どうすべきか。
60歳未満の単身者であれば、この年齢要件を廃止して、収入のみを基準として、生活に困窮しているということを入居資格にするということが考えられます。
これについては、今後も議論していきたいと思いますが、きょうのところは、もう一つのこの婚姻関係を結べない者同士、これについて申し上げたいと思います。
婚姻関係を結んでいない者でも、内縁関係であると、住民票に「妻(未届)」「夫(未届)」、こういったふうに表記をされて、事実上の婚姻関係、こういったことになって、いわゆる入居要件である親族に該当して応募できると、こういったことに現状はなっております。
しかし、同性同士で婚姻関係を結べなくても、この同居親族要件。先ほど御答弁ずっとございました。今同居親族という要件がございましたけれども、ここから「親族」を外せば、そうしたカップルでも入居要件からはじかれるということはなくなるわけであります。
スクリーンを終わります。
以前にも申し上げましたし、今回の御答弁でもございました。平成23年の地域主権一括法の公布によって公営住宅法が改正されまして、これまで公営住宅法の条文にありました、この同居親族要件、これがこの法律の中では撤廃をされたわけであります。
現在では、この判断、この同居親族要件をなくすかどうかというのは、地域主権、地域分権という中で各自治体に委ねられた、こういったことをこれまでも申し上げてまいりました。
そこで改めて伺います。
こうしたさまざまな状況がある中で改めて伺いますけれども、この同居親族要件から「親族」を外すことについては時代の要請だと考えますが、これについて見解を伺います。
◎市民生活部長(井田光昭君)
同居親族要件を廃止する場合、住宅の承継や使用料の算定などの課題について整理・検討を行う必要があるものと考えております。このため、現時点では直ちに廃止する考えはございません。以上です。
◆6番(大沢純一君)
さまざまな、特に承継の問題が大きいということも、それは認識しているんですけれども、一方では、本市の市営住宅条例というのが都の条例に準拠していると、こういったことも一つあります。都がこの同居親族要件を維持していることが本市が要件撤廃に踏み込めない大きな理由の一つだと私は推察をしているわけであります。
この同性カップル--同性パートナー同士です。これが公営住宅に入居できるようにすることを、その目的の一つとして、幾つかの自治体が同性パートナーシップ制度というものをつくっております。もちろん、住まいだけでなく、病院の面会ですとか、あるいは携帯電話の家族割引といった、そういった日常的なこと。こういった適用の際にも、相手方との関係性を示せるということで、いわゆる性的マイノリティーの方々を中心にして求められてきた、こういった制度であると理解をしております。
この同居親族要件の廃止以外にも、各地のパートナーシップ制度のように、制度をつくって市営住宅の入居資格を確保するという、こういったやり方もあるわけです。このパートナーシップ制度について、市は現在どのような見解を持っておりますでしょうか。
◎総合政策部長(小林健司君)
パートナーシップ制度でございますけれども、議員も御存じのように、パートナーシップ制度は、一方または双方が性的マイノリティーのカップルを対象に、結婚に相当する関係として自治体が証明書等を発行しまして、公的にカップルと認める制度であると認識してございます。
近年、このような制度を導入する自治体が増加しつつありますが、戸籍法あるいは住民基本台帳法等の制度にかわるものでないため、相続等で法令上の配偶者と同等の扱いはできないと先進事例でも説明されているところでございます。
本市では、人権尊重や多様な価値観を認め合う社会の構築に向けまして、さまざまな施策を展開しているところでございまして、パートナーシップ制度につきましては、今後の国の動向などを注視いたしまして研究しているところでございます。以上です。
◆6番(大沢純一君)
今御答弁いただきましたとおり、このパートナーシップ制度、もちろん、望んでおられる方がいて、進めていい面もあれば、まだまだ課題も、整理しなくちゃいけない課題もある、そういったことの御答弁でありましたけれども、このパートナーシップ制度自体が同じ性的マイノリティーの方々の中でも同性同士の、この法律上の婚姻関係を望んでいる人たちには必ずしも受け入れられていない、こういったことも認識しております。ですからみんなが、関係者みんながこういうことを進めてほしいと言っているわけでもない、こういった状況がまだまだあることも認識をしております。
その上で、あえてこのパートナーシップ制度を申し上げ、見解を求めたのは、もちろん承継の問題、さらに遺産と相続等々の問題、絡みますけれども、あえてこれを申し上げたのは、セーフティネットに応募すらできない市民がいる。何度も繰り返しますけれども、応募すらできない市民がいる。それを制度など技術的な手法を使ってでも乗り越えて、セーフティネットを万全なものにする考えがあるのかどうか。まさに、そこが問題であるのではないかと、こういったことを指摘したいわけです。
もちろん、乗り越えなくちゃいけない課題というのはあります。ただ、その手前として、その大もとの考えとして、こういうことを乗り越える、乗り越えようと思うのかどうなのか、そこについての課題意識を指摘しておきたいと思って質問をさせていただきました。
今、国の動向を注視するという、こういった御答弁がございましたけれども、まずは東京都、ここが平成29年度末、平成30年の3月30日付で策定した東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画、この中で住宅確保要配慮者として国が示す対象者のほかに、児童養護施設退所者やUIJターンによる転入者、こういった方々とともにLGBTを今回加えました。そういった方々を加えました。このような動向、当然承知をされていることと思います。
平成32年度までの計画である本市の第3次住宅マスタープラン、この次の改定を検討する段階に入っていることと思います。
ここで、申し上げたように、現状ではセーフティネットにアクセスすらできない市民をどうするのか。また、最近、近年では増加しつつあります精神疾患を持つ人などが住まいを借りることが困難である、こういった現実がやはりあります。
ずっと、こういった市営住宅を借りる際に保証人をなくすべきだという話もしてまいりました。ただ、その保証人のかわりに保証会社という、こういった流れも今世間でなっておりますけれども、そういった保証人が用意できない人が、今度は保証会社となると、今度は保証会社の保証料が高いから、ここで保証人がつけられない。やはり住宅を探すことは困難だという、そういった壁もあります。
この住宅確保については制度的な穴というものが、至らない部分がまだまだあるというふうに感じておりまして、そういった現実を専門的な方々のサポートで支えようという、そういった居住を支援する組織、これまでずっと言ってまいりました居住支援協議会、そういった組織になります。
私もさまざまな状況を見ておりまして、やはりこういった協議体の設置が必要ではないか、こういったこともあわせて要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。