立川市営住宅の優先入居基準について

平成27年第3回定例会(2015年9月25日) 議事録より

◆6番(大沢純一君)

現在、立川市第3次住宅マスタープランの改定に向けた作業が進められております。これは、平成23年から32年までの10年間とするこのマスタープランの中で、さきに示されました本市第4次長期総合計画にあわせて見直されるものです。

第4次長期総合計画、施策31生活保障の充実では、その基本事業として自立支援、生活保護の適正運営、市営住宅の適切な維持、管理という3項目が掲げられており、本市公営住宅は、長期総合計画として福祉の枠の中でその役割が求められております。これは、住宅を福祉とも位置づける住生活基本法に沿うものであり、本市住宅マスタープランもそのもとに作成されているわけです。

住宅マスタープランでは、基本目標として三つの方向性が示されておりますが、そのうちの一つであるこの住宅に対するセーフティネットについて、市の現在の考え方を伺います。

◎市長(清水庄平君)

住宅セーフティネットの考え方についてでありますが、平成19年に公布された住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の趣旨及び基本的な方針を考慮し、現在立川市第3次住宅マスタープラン改定作業を行っているところであります。

◆6番(大沢純一君)

住宅セーフティネットの考え方を市長から御答弁いただきました。

この考え方のもと、現在のマスタープランの改定とあわせて、市営住宅のあり方についても制度、条文としてしっかり位置づけるべきであると考えます。現在、入居希望者は全員抽せんです。どんな状況にあっても一回並んでもらう、そういうことになるわけですけれども、しかし、緊急度の高い方、具体的にはDV被害者また犯罪被害者、そして市営住宅条例第8条1項の(1)から(5)にあるもの、全部は申し上げませんけれども、例えば、

(1)住宅以外の建物もしくは場所に居住し、または保安上危険な状態もしくは衛生上、有害な状態にある住宅に居住している者
あるいは、
(4)正当な理由による立ち退きの要求を受け、適当な立ち退き先がないため、困窮している者

という、所得が低いというにとどまらず、まさに緊急度が高い、こうした市民は、条例第8条2項の抽せんによることが困難な事情として緊急特例としての優先入居をできる環境を整えるべきではないかと考えますので、その根拠を示したいと思います。

最初に、通知、告知で二つ申し上げます。

一つ目は、平成25年6月27日付国土交通省住宅局住宅総合整備課長名で出された各都道府県政令市住宅主務部長宛ての通知「公営住宅に係る優先入居の取り扱いについて」で示された優先入居の対象世帯についてです。

これには、現在の社会情勢に照らし、特に居住の安定確保が必要な者として、優先入居の取り扱いを行うことが適当とされる、そういった者として、「DV被害者世帯、犯罪被害者により従前の住居に居住することが困難となった世帯」などを挙げております。こうした根拠が一つ目。

二つ目ですが、平成25年7月31日付の厚生労働省、国土交通省告示第1号ホームレスの自立の支援等に関する基本方針では、その中で自立した日常生活を営むことが可能と認められるホームレスに対しては、地域の住宅事情等を踏まえつつ、公営住宅の事業主体である地方公共団体において優先入居の制度の活用等に配慮する、と示されております。

さらに、関係法令を挙げますと、市営住宅条例第8条1項の根拠は、公営住宅法施行令第7条になりますけれども、この施行令第7条には、入居者の選考は、条例で定めるところにより、当該入居者が住宅に困窮する実情に応じ、適切な規模、設備または間取りの公営住宅に入居することができるよう配慮するよう記されております。つまり、条例で選考の仕方を定めろとありますけれども、これには抽せんの規定があるわけではないということも申し上げたいと思います。

さらに、参考として、都営住宅条例第10条1項でも、居住の安定について特別な配慮が必要であると認める者に対して、一般都営住宅の一部を割り当てることができる、としておりますが、この「特別な配慮が必要であると認める者」とは、都営住宅条例施行規則第11条2項に照らしても、特別な事情を有する者という規定しかありません。

つまり、優先入居についてDV被害者、犯罪被害者については、国土交通省通知で求められており、市営住宅条例第8条1項の(1)住宅以外の建物もしくは場所に居住とあるホームレスについては、厚労省、国交省告示で求められております。

さらに、第8条1項のその他(2)から(5)の緊急性が高いと、この方も緊急性が高いと考えられます。この選考については、公営住宅法で必ずしも抽せんを求めておりませんし、都営住宅条例でも、特別な事情を有する者には、住宅の一部を割り当てることを示しているわけであります。

こうした住宅確保要配慮者、先ほど市長の御答弁もありましたけれども、については、現在居住支援協議会の議論もされていると思いますが、それとあわせてさきのような根拠から市営住宅においても優先入居の環境を整備すべきと考えますが、いかがでしょうか。

◎市民生活部長(渡辺晶彦君)

まず、優先入居につきましては、例えば都営住宅などにおいては、障害者世帯等や高齢者世帯、それから多子世帯等に対し、当選率が一般の場合に比べて5倍あるいは7倍になるという、そのような優遇制度を設けております。

一方、本市の市営住宅においては、募集時から応募枠を定めて、一般世帯、高齢者世帯、それから車椅子世帯、福祉単身世帯、多子世帯など、区別した枠を設けて住宅困窮者がそれぞれの該当区分で当選できるような工夫をしてございます。

議員おっしゃいました条例第8条第1項第1号から第5号に定める者につきましては、これは枠内でおさまれば抽せんする必要はないんですが、現実問題として希望者が多いものですから、これは抽せんになってしまうんですが、その抽せんを経た上で当選者全員に、資格審査を行ってこれらの状況を確認した上で住宅の使用をしていただくという形をとっております。

それから、DV被害者につきましても、これは条例第6条第2項の第8号に規定してございまして、一時保護施設による保護等が終了した日または配偶者暴力防止等法第10条の第1項による裁判所の命令が効力を生じた日から5年を経過していない方が対象として規定していることになっております。

この場合は、同居条件を要せず優先的な入居が可能というふうな形になっておりまして、犯罪被害者については規定はありませんが、これはDV被害者の例が参考になるというふうに考えております。

以上です。

◆6番(大沢純一君)

お考えはわかりました。

今、議論させていただいているこのDV被害者、また犯罪被害者について、基本的には保護という考え方になるわけなんですけれども、つまりDV被害者であれば一時的には一時保護施設に避難する、そういったことになるわけですけれども、その保護の後に求められる継続した生活、つまり文字どおり居住の安定なわけなんですけれども、これは先ほど申し上げたとおり、居住支援協議会の議論、そういった対応も待たれるわけですけれども、どのような角度からしてもこうした緊急度の高い市民に対して支援を行うにしても、まず受け皿が用意されていないといけないと思うわけです。

第3次住宅マスタープランの政策目標の中にも、居住の安定確保を図るべき世帯に対し、必要な住宅供給を行うと記されております。そういったところでは、このセーフティネットとしていざというときに機能するかどうか、そういったところを先ほど御答弁にもありましたけれども、数が用意されていれば、全員大丈夫だけれども、数が少ない場合にはやっぱり抽せんになってしまう、そういうところもあるわけなので、そういうもちろん数に限りがあるというところはあると思います。それはもちろん居住支援協議会のほうの対応ということにもなるわけですけれども、それもあわせてこのセーフティネットとしていざというときに機能するかどうか、そういった観点からよくよく検討していただきたいというふうに思います。

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