毎月定例の勉強会に出席。本日は、農林水産行政の現状と課題について農水省の担当者から話しを聞きました。
現在の農業を取り巻く状況は大変厳しいことは、耳にしたことがあるかもしれません。
現実としては20年前と比較して
・農業就業人口=414万人(平成7年)→175万人(平成29年) 58%減
・耕地面積は504万ha(平成7年)→442万ha(平成30年) 12.3%減
ということで、とくに農業をやる人が急激に減っていることがわかります。
一方で、生産農業所得は4.6兆円(平成7年)→3.8兆円(平成29年)ということで17.4%の減少なので、農業者一人あたりの農業所得は増加しています。
これは技術革新などで、機械化できる作業が多くなったことが大きな要因です。
人口減少社会を迎えた日本で農業の将来を考えたときに、ひとつはデータ活用や自動運転などを使った「スマート農業」を急速に推進していくことが必要となります。政府は「未来投資戦略2018」のなかで”2025年までに農業の担い手のほぼすべてがデータを活用した農業を実践する”ことを目標としています。
そうしたなかで、担い手不足も大きな課題となっています。
現在、中小企業で次の世代に事業を引き継ぐ「事業承継」が課題となっていますが、農業においても同様です。
また、若い世代の就農も課題になっているのですが、人手不足という買い手市場にあるなかで、49才以下の新規就農者はここ数年右肩下がりになっています。現在の農業の有効求人倍率は「1.7」ということです。
今後の農業を考えたときに、輸出をどう拡大していくかというのは不可欠な視点になります。
人口減少で国内の市場はどうしても縮小していきます。一方で、世界の食料需要は2015年に890兆円だったものが、2030年には1,360兆円まで増加することが見込まれています。
しかしそれには国内の体制が追いついていないのが現状だそうです。
輸出先の国の規制(輸入規制)に対応するには、農産物や農産加工品の安全性の証明が必要になります。
ところが国内で加工施設を造るにもHACCPを始めとした認定に保健所の対応が追いつかず事業が進まない、といったことや、食品衛生証明書は保健所、放射性物質証明書は水産庁と窓口が異なり手続きが煩雑になっていることなど、事業者が輸出に取り組むにも様々な課題があるのが現状です。
スピード感が必要なビジネスの現場で、手続きに時間がかかるればビジネスチャンスを逃すことになってしまいます。
これには省庁横断で取り組まなくてはならないことから、現在、国では政府一体となって輸入規制対応に取り組む体制をつくっているとのことです。
その他、障がいを持った方が農業分野で活躍して社会参画を実現する「農福連携」についても聞きました。