公営住宅の単身入居者 死亡後の家財放置で自治体に通知

平成29(2017)年2月18日(金)付

速やかな移動、処分 促す

国土交通省は1月25日、全国の都道府県の公営住宅担当者に対し、「公営住宅における単身入居者死亡後の残置(ざんち)物への対応方針の策定について」

と題する通知を発信した。これは各地で起きている入居者の死亡後に、家財道具などが長期間放置される問題について、自治体による残置物の速やかな移動、保管、処分を促すため、取り扱いを明文化したもので、自治体関係者から歓迎されている。通知は、公明党の山下浩昭大阪府議と山本香苗参院議員の連携プレーで実現した。

放火や環境悪化を防ぐ 国交省が取り扱いを明文化

内閣府の高齢社会白書によると、2014年の65歳以上の単身世帯数は595万世帯で、91万世帯だった1980年の実に6.5倍に達したという。

今回の通知は、こうした高齢化の進展を踏まえ、今後も増えると予想される「公営住宅の単身入居者が家財道具を残したまま死亡するケース」に備えるもの。特に相続人がなかなか特定できない場合に、公営住宅に残置された家財などについて、財産権を侵害しないように留意し、公営住宅法や民法の規定に則った上で、残置物の確認、移動、保管などを行うよう明示したことが大きい。

通知には同省が昨年8月、全国の公営住宅を有する1676自治体を対象に行なった「残置物の取扱いに関する調査結果」を添付。回答の中で家財処理の先進的な事例については、参考として紹介している。

東大阪の事例がきっかけ

事態が動いたきっかけは15年7月ごろ、山下府議が大阪府東大阪市内にある府営住宅の住民Aさんから、「階下の1階に住んでいた単身入居者が亡くなった後、長い間、家財道具が部屋とベランダに放置されたままで困っている。もしベランダに放火でもされたら、上の住民は避難できないかもしれない」と、切実な相談を受けたことだ。

住民が最も不安視したのは、1階のベランダに放置された木製の収納ケースやビニールシート、日用雑貨などの家財道具。Aさんによると、野良猫がベランダで出産したり、ゴキブリが多く発生するなど、衛生上も問題が。さらに植え込みとベランダの間のスペースが近所の中高生らのたまり場になっており、隠れてタバコを吸う姿も目撃されていた。

実情を聞いた山下府議は、府当局に対応を要請。昨年3月議会の一般質問でも取り上げ、府側から計190戸の府営住宅が同様の状態になっていて、家賃収入も滞っているとの答弁を引き出した。また、府側は相続人の特定が進まず家財道具などが整理できない状況を打破するため、課題を共有する自治体と共に、国に対し法制上の整備を求めることも明らかにした。

東大阪市の府営住宅の入居者死亡から約3年。山下府議らの粘り強い訴えが府の動きを後押しし、昨年6月に相続人の特定、了解取り付けが進み、トラック6台分の家財道具が撤去され、住民に感謝された。

続いて6月28日には、大阪府と和歌山県が共同し、石井啓一国土交通相(公明党)宛てに「公営住宅の単身入居者死亡に係る住宅返還に関する要望書」を提出。これを受け国交省は8月、一人暮らしの入居者の死亡後に、公営住宅に残された家財道具などをどう処理するかについて、全国の自治体を対象にアンケート調査を開始した。

本紙報道を通じ公明府議と山本さんが連携

こうした事実を報道した本紙9月2日付7面記事を見た山本参院議員は、山下府議や関係者から関連情報を聞き取った上で、昨年11月8日の参院厚生労働委員会で、国交省などの対応をただした。

この中で山本さんは東大阪市の事例を紹介しながら、大阪府内だけでも約190戸の府営住宅が単身入居者の死亡後に家財などが放置されたままになっているとし、「入りたい人がたくさんいるのに新たな入居者が入れない。それだけでなく、長期にわたって家賃が未収になっている」と指摘。国交省として、ぜひ前向きに対応していただきたいと迫った。

これに対し、同省の由木文彦住宅局長は、「公営住宅の残置物の円滑な処理、保管を行うため参考となるような事例をきちんと各公共団体に示した上で、関係省庁とも協議し、要点についてはガイドラインのような形で普及していきたい」と答えていた。

今回の通知を受けた大阪府住宅経営室経営管理課の吉田裕彦参事は、「単身入居者の死亡後、家財道具の移動や処分を進める際の法的な裏付けとなる文書が今までなかっただけに、ありがたい」と述べた。

(京都市)市営住宅 子育て世帯向けに改修

2017(平成29)年1月30日(月)付 7面

収入に応じ家賃低く 末っ子が18歳まで居住OK “その後”の住み替えも

京都市は現在、3月下旬の入居をめざし、市営住宅の空き部屋を子育てしやすい間取りや構造に改善する「子育て世帯向けリノベーション住戸」の開設工事を進めており、話題を集めている。開設される計55戸の内訳は、洛西ニュータウン(西京区)に40戸、向島ニュータウン(伏見区)に10戸、小栗栖市営住宅(同)に5戸となっている。子育て世帯向けの市営住宅づくりをリードしてきた市議会公明党(曽我修団長)はこのほど、入居希望者の内覧会に先行して公開された向島ニュータウンの居室を視察した。

足音を軽減するフロア、開放的な間取り

近鉄向島駅から徒歩約3分の同ニュータウン。リノベーション(改造)された居室の特長は、家族のコミュニケーションが取りやすい開放的な間取りだ。カウンターのついた対面式キッチンからは、ダイニング・リビング、ウォークイン・クローゼットの部屋が見渡せる。また、リビングの床には、柔らかい素材のクッションフロアを採用し、子どもが走り回っても衝撃を吸収し、足音を軽減する効果もあるという。

入居後の家賃は収入に応じて低く設定。一番下の子ども(入居後に生まれた子も含む)が18歳になる年度末まで居住でき、その後も入居者が希望すれば、同じ市営住宅内の一般の居室へ住み替えができる。

対象は、京都市内に居住または勤務している人で、中学校修了までの子どもがいる世帯。収入基準は、4人家族(夫婦と子ども2人)の場合で、おおむね年収530万円程度まで。

公明の提案で実現

子育て世帯に向けた市営住宅の改造と提供については、市議会公明党が一貫して推進してきた。特に平山賀一議員は2015年10月の定例会質問で、市の活性化には、若者世代の定住促進、子育て世帯に対する支援が重要と指摘。京都市住宅マスタープランの見直し作業に関連し、洛西ニュータウンなど約40年を経過する市営住宅を、若者に魅力ある住宅に造り替えるよう提案。門川大作市長から積極的に取り組む旨の答弁を引き出していた。その後、吉田孝雄、日置文章の両議員もまちづくり委員会での質疑で言及し、後押ししてきた。

(東京・立川市)国会図書館データ資料を市民に提供

2017(平成29)年1月22日(日)付 4面東京・山梨版

【大沢純一=立川市議】

立川市中央図書館は今月4日から、国立国会図書館デジタル化資料送信サービスを開始しました。

市の図書館に登録している人であれば、1日1時間を限度に国会図書館所蔵のデジタル資料のうち、入手困難な図書や雑誌、論文など約142万点が閲覧できるとともに、希望すれば1枚10円で複写することもできます。

私は2015年9月の定例会で、多様な利用者に応じた図書館サービスとして、国会図書館との連携を要望。また、自治体によってはサービスが閲覧のみとされていることから、立川市では複写もできるように求めていました。

(長崎・五島市)地域調剤情報共有システム 市民の服薬を一元管理

2017(平成29)年1月19日(木)付

3割が登録 重複処方防ぐ

「患者がお薬手帳を忘れるなどして、どの薬局でどの薬が出ているか分からず、処方に困ることがよくあった」――。菅原会長はこう指摘する。

現在、同システムには、人口(3万8297人=昨年12月31日現在)の約3割に当たる1万1977人(6日現在)が登録している。市民への周知が進んだ背景には、同市が離島であることから、市民の約8割が市内の薬局を利用し、薬剤師と患者が顔の見える関係にあるからだ。出口課長は「各薬局と連携して、今後も、さらに登録者を増やしていきたい」と語る。

同システムは市内の全21調剤薬局が参画し、各薬局を結ぶネットワークを構築、市民に安全な調剤を行っている。また、市内の一人暮らしの高齢者の緊急連絡先や通院状況などの見守り情報を共有しているのも特徴の一つ。菅原会長は「救急現場では、救急車に搭載されているタブレット端末で、救命士はすぐに服用している薬の情報などを把握することができ、迅速かつ適切な対応を行える」と語る。

さらに、インフルエンザなどの感染症が発症した場合の情報発信にも取り組んでいる。発症の地域や年齢層など詳細な情報を素早く把握し、医療機関をはじめ、教育や社会福祉関係機関などに発信。学校や介護施設などでの集団発生の予防にもつなげられるという。

こうした利点がある一方で、同システムは調剤薬局だけのため、病院や診療所で処方される院内処方や、市外で診察や入院して処方された薬情報は共有できないのが課題だ。

菅原会長らは、今後、関係団体と協議を重ね、県内の医療機関の診療情報を共有している「あじさいネット」と連携し、薬局以外で処方された薬の情報も共有できる体制を構築していく考えだ。また、現在、訪問看護をはじめとする在宅医療での活用をめざし、関係団体と協議も進められている。

公明が導入推進

同システムは、衛生検査技師として五島中央病院で34年間勤務した経験がある、さがら市議が市議会定例議会で導入を訴えて実現。

さがら市議は「今後も、地域医療の充実に取り組み、島民の健康を守る政策を進めていく」と語っていた。

依存症対策の充実へ

2017(平成29)年1月17日付

佐々木、三浦氏と党横浜市議団 専門医療施設で意見交換

公明党の佐々木さやか、三浦信祐(のぶひろ)の両参院議員と党横浜市議団(高橋正治団長)は6日、依存症対策のあり方を探るため、神奈川県横須賀市にある国立病院機構・久里浜医療センター(樋口進院長)を訪れ、樋口院長と河本(こうもと)泰信・精神科院長から話を聞いた。

久里浜医療センターは、日本で唯一、世界保健機関(WHO)からアルコール関連問題研究・研修協力センターとして指定されている、日本におけるアルコール依存症治療の中心施設。専門的なノウハウを生かし、インターネットやギャンブル依存症の治療にも取り組んでいる。

樋口院長は、依存症全般にわたって話した後、日本で約52万人と推計される中学・高校生のインターネット依存症の深刻な状況について強調。勧告が16歳未満の青少年に深夜時間のオンラインゲーム参加を禁止する「シャットダウン制」を導入していることに触れ、日本での対策強化を訴えた。

河本精神科院長は、ギャンブル障害、いわゆる「ギャンブル依存症」における診断や治療法などを解説。同センターで実施している外来プログラムでは、約7割の人がギャンブル依存症を克服する一方、家族との葛藤やトラウマ(心的外傷)などの重症化因子を持つ人は特別なカウンセリングが必要になると話した。その上で河本精神科院長は、ギャンブルとうまく付き合うための教育や、事業者へのギャンブル依存症に関する研修を提案した。

一行は、カジノとギャンブル依存症との関係や、専門医師、看護師の人材育成などをめぐって、活発に意見を交わした。

終了後、佐々木さんは「依存症への理解を深めるための普及啓発や、身近に相談できる窓口の拡充が必要だと感じた」と述べ、高橋団長は「横浜市での依存症対策を強化していきたい」と語っていた。

(東京都)私立高授業料 実質無償化

2017(平成29)年1月17日付

来年度 年収760万円未満を対象

東京都は16日、私立高校に通う生徒のいる家庭の経済的負担を軽減するため、2017年度から世帯年収約760万円(目安)未満の世帯の授業料負担を実質無償とすることを決めた。高校授業料の公私立間格差の是正が狙い。小池百合子知事が記者団に明らかにした。入学支度金貸付事業(無利子)の貸付額も20万円から25万円に引き上げるとして、合わせて来年度予算案に80億円が計上される。

都立高校授業料が年間11万8800円(16年度)であるのに対し、都内の私立高校の平均授業料は年間44万2000円(同年度)に上る。現在、都は私立高校について年収910万円(目安)未満の世帯を対象に、国の就学支援金(所得制限あり)に加え、世帯年収に応じて上乗せされる都独自の授業料軽減助成金(特別奨学金、所得制限あり)を実施している。

都は17年度から、都の助成金を増額することで、世帯年収約760万円(目安)未満の世帯が、国の就学支援金と合わせて計44万2000円を受け取れるようにする。都によると、対象となる私立高校の生徒は約5万1000人。

公明の主張を反映 都議会 東村幹事長が強調

都議会公明党の東村くにひろ幹事長(都議選予定候補=八王子市)は16日、都庁で都の方針について、「公明党の主張を受け止めたもの」と評価した。

その上で「家庭の経済状況によって子どもの教育の機会が奪われてはならない」とし、教育への”投資”の重要性を強調。「今後、世帯年収910万円未満まで引き上げたい」と述べた。

同一労働同一賃金の指針案

2017(平成29)年1月15日(日)付

非正規の待遇改善めざす

政府は先月、パートタイム労働者や派遣社員といった非正規労働者と、正社員の不合理な待遇差の改善をめざす「同一労働同一賃金」のガイドライン(指針)案を策定した。日本における待遇差の現状や、今後の課題などについて解説する。

不合理な扱いの具体例を明示

日本では、非正規労働者と正社員との間で給与や福利厚生などに関して大きな待遇差が存在する。

例えば、多くが正社員であるフルタイム労働者の賃金水準(時間当たり賃金)を100%とすると、パート労働者の賃金は、その56.6%しかない。

数値は徐々に改善しているものの、欧州諸国の70~80%程度【グラフ参照】と比べると見劣りする。正社員の多くが勤続年数に応じて給与が高くなるのに対し、非正規労働者の大半は横ばいで推移しているのも問題だ。

さらに、厚生労働省の調査では、正社員に賞与を支給する企業は83.4%なのに対して、パート労働者や37.3%にどとまる。金額も従業員1000人以上の企業では、正社員が130万円超なのに対して、パートは4万円に満たない。

福利厚生でも待遇差が生まれている。2011年に通勤手当を正社員に支給している事業所の割合は85.6%だが、パートへの支給は65.1%。慶弔休暇は正社員の82.7%に対し、パートは42.2%だった。

こうした背景から、若者世代を中心に非正規労働者の待遇改善を求める声は強い。総務省の調査によると、正社員として働く機会がなく、仕方がなく非正規雇用で働いている人は全年齢で16.9%だが、25~34歳では26.5%に上る。

実効性確保へ関連法改正が必要

同一労働同一賃金の指針案では、正社員と非正規労働者の基本給について不合理な差を認めないとしたほか、非正規労働者に昇給や賞与を認め、時間外手当の割増率についても正社員と同じにするよう企業に求めている。

最大の特徴は、基本給や賞与、福利厚生、教育訓練などについて企業の対応が「問題となる例」「問題とならない例」を具体的に示したことだ。

例えば、基本給に関して「生産効率や品質目標の達成でノルマを負っている正社員と、目標達成の責任がない非正規労働者で支給額に差がある」のは問題がないとした。

逆に問題がある例としては、「正社員が販売目標を達した場合に行う支給を、非正規労働者販売目標に届かなかったからといって、一切支給しない」ことなどが挙げられている。

ほかにも、「仕事の内容や成果と無関係な通勤手当などは、正社員か非正規労働者かを問わず同様に支払わなければならない」といった均等待遇の例を明記している。

現在も不合理な待遇差を禁じる法律の規定はある。しかし、どういったケースが不合理と判断されるかとの詳細は示されていない。指針案で具体例を示したことは、非正規労働者の待遇改善の大きな一歩だと期待されている。

一方、指針案では、意見が分かれる退職金や家族手当の扱いなどについては言及していない。急激な負担増を避けるため、企業の裁量を認めた。各企業において処遇体系全体を労使で話し合い、公正は評価に基づく賃金制度を構築することが同一労働同一賃金の実現に望ましいとしている。

ただ、この指針案に現時点で法的拘束力はない。実効性を持たせるためには、関連法の改正が必要になる。政府は、早ければ今月に開かれる通常国会でパートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の関連3法の一括改正をめざす。

今後の焦点は、正社員と非正規労働者に「合理的」とされる待遇差を付けた企業に対し、説明責任を負わせるかどうかだ。非正規労働者の待遇改善によって、正社員が割を食うのではないかと懸念する声もある。

政府には、企業も労働者も納得できる仕組みを作ることが求められている。

公明党の主張が反映

同一労働同一賃金に関して公明党は、「働き方改革実現推進本部」の提言などを通じて、正社員に対する非正規労働者の賃金水準を欧州並みの8割程度に引き上げることなどを強力に主張。今回の指針案には、こうした方向性が反映された。

党推進本部は、引き続き議論を重ね、政府の働き方改革実現会議が、同一労働同一賃金の「実行計画」を策定する今年度末に向け、最終報告をまとめる方針。これに対して、安倍晋三首相は「公明党の役割として、ぜひ主体的に取り組んでもらいたい」と期待を寄せている。

このほか公明党は、非正規社員の待遇改善に向けた取り組みとして、正社員に転換した企業への助成金の増額や、賃金規定などの待遇改善を行う企業を支援する施策を求め、2017年度予算案に盛り込んだ。

賃上げに向けた環境づくりを応援するため、年功序列によらない能力評価制度を整え、賃金アップを図る企業に対して助成する仕組みも創設する。

食の安全へ原因究明を

2017(平成29)年1月15日(日)付

豊洲調査結果受け都議会公明党 知事に緊急申し入れ

東京都議会公明党(東村くにひろ幹事長、都議選予定候補=八王子市)は都内で14日、小池百合子知事に対し、都が行った豊洲市場(江東区)の安全性を確認する地下水モニタリング調査(9回目)の最終結果で、複数の地点から環境基準を超える有害物質が検出されたことを受け、緊急申し入れを行った。

席上、東村幹事長は、これまで8回に上る調査について、一部を除き環境基準以下だった有害物質が、今回の最終調査で基準を超える数値で検出されたことから「原因を解明し、都民に公表することが必要だ」と要望した。さらに、専門的で詳細な再調査を実施し、有害物質への対応策を行うよう求めた。

また東村幹事長は、豊洲市場への移転について、「食の安全確保が大前提だ」として、都民の理解が十分に得られるよう、これまで以上に安全・安心に関する情報公開を実施する必要性を訴えた。

小池知事は要望に理解を示し「複数の調査機関で再調査をしていく」と述べた。

ベンゼン、基準の79倍 シアン初検出 豊洲地下水で都が調査

東京都の築地市場(中央区)からの移転が延期された豊洲市場(江東区)をめぐり、都は14日、2014年11月から定期的に行ってきた地下水調査の9回目の結果を公表した。前回に続き、有害物質のベンゼンとヒ素を検出。ベンゼンは最大で環境基準の79倍と、前回を大幅に上回った。加えて、検出されないことが基準のシアンが初めて出た。

小池百合子知事は同日、都内で記者団に「想定を超える数値が出て驚いている。厳しい結果だ。専門家会議の議論を参考にしたい」と述べた。

調査結果は、14日に開かれた専門家会議に報告された。

今回の結果について、都はこれまでの数値から大きく変動しているため、「暫定値」として公表した。

活用推進法が成立 自転車を利用しやすい環境に

2017(平成29)年1月13日付

先の臨時国会で、自転車を利用しやすい環境整備を進める自転車活用推進法(議員立法)が成立した。環境に優しい自転車の利用を促し、過度な自動車依存を減らすことで、健康増進と交通混雑の緩和をめざしている。そこで、自転車を活用した街づくりで、先行する自治体の取り組みを追った。

シェアサイクルが好評 東京都広域連携で利便性向上

「手軽に借りられ、区を超えて使えるのが本当に便利です」。都内在住の男性(35)が利用するのは、東京都などが実施する「自転車シェアリング」。事前登録をすれば、貸し出し拠点(ポート)に置かれた自転車を自由に使うことができ、別のポートに”乗り捨て”もできる手軽さが魅力だ。

2016年2月、都と千代田、中央、港、江東の各区は、相互利用が可能な広域実験を開始した。都議会公明党が推進してきたもので、同年10月からは新宿区も加わり、今月23日からは文京区も新たに参加する。都環境都市づくり課によると、「広域的な利用は全国で初めて」という。

運用中の5区では現在、206カ所のポートに電動アシスト自転車2270台を配備(16年12月1日時点)する。利用料金は30分150円で、月額会員なら月2000円(1回30分まで)で借りられる。

利用状況は上々で、各区が独自の事業を行っていた実験開始前に比べて、利用回数は3倍を超えた。16年11月の1日平均利用回数は5374回に上る。同課の川久保ルミ子課長は「ニーズは高い。利用頻度の多い地域などを分析して、自転車台数の適正は配置に努める」と話す。

こうした自転車の共同利用事業は、シェアサイクルなどと呼ばれ、公共交通の補完や観光戦略として、10年ごろから各地で徐々に広がり始めた。国土交通省によると、15年11月1日時点で全国77都市に導入されている。シェアサイクル施設の整備は、活用推進法で重点施策に掲げており、今後の拡大が期待される。

活用推進法は、自転車施策を総合的に進めるものだ。今後は国や自治体が推進計画を策定し、①専用道路や通行帯の整備②シェアサイクル施設の整備③安全性の高い自転車の供給④交通安全の教育・啓発⑤災害時の有効活用⑥自転車を活用した観光客誘致や地域活性化支援――などの対策が重点的に講じられる。

既に独自の計画を策定している自治体もある。例えば、栃木県宇都宮市では、10年末にまとめた「自転車のまち推進計画」に基づき、多様な自転車施策を展開している。具体的には、自転車道などの整備のほか、修理工具を無料で貸し出す自転車の駅(市内48カ所)を設置している。

毎年10月には、アジア最高峰の自転車競技大会「ジャパンカップサイクルロードレース」が開かれている。市議会公明党も”自転車の街づくり”を推進してきた。

推進計画は、さいたま、金沢、京都、堺の各市でも作られており、法整備は、こうした先行する自治体の大きな後押しともなる。

公明の提言、随所に反映

国内の自転車保有台数は約7200万台に上り、自動車の台数に匹敵する。自転車は身近な移動手段であり、環境保全や健康づくり、混雑緩和といった効果を生むだけでなく、災害時には有効な移動手段となる。

そこで公明党は、プロジェクトチーム(高木美智代座長=衆院議員)を設置し、自転車が安全・快適に走りやすい環境のあり方などについて活発に議論を重ねてきた。11年には、自転車専用信号や専用通行帯の整備に加え、交通安全教育の徹底や自転車保険の拡充などを盛り込んだ党独自の提言を発表。活用推進法には、同提言の内容が随所に反映されている。

同法について、NPO法人「自転車活用推進研究会」の小林成基(しげき)理事長は、「車中心の社会を見直し、自転車を主要な交通手段として位置付ける内容だ。今後の具体化に期待したい」と語っている。

障がい児に適切な教育

2016(平成28)年1月12日(木)付

17年度から「通級指導」の教員拡充

政府は発達障がいのある児童・生徒らが別室で授業を受ける「通級指導」や外国人児童らへの日本語教育などを担当する教職員定数を改善することを決め、2017年度予算案に盛り込んだ。教員定数の改善に向けた公明党の取り組みについて党教育改革推進本部「教職員定数の充実に関する検討小委員会」の浮島智子主査(衆院議員)に聞いた。

基礎定数化で計画増員

――教職員定数はどう改善されますか。
浮島 発達障がいのある子どもらに適切な教育を行うための通級指導や外国人への日本語教育などを担う教職員数は、従来、毎年の予算編成の度に決まる不安定な「加配定数」の一部でしたが、来年度以降は対象の児童・生徒数などに応じて自動的に決まる「基礎定数」の中に位置付けられることになりました。

具体的には、従来の「加配定数」枠約6万4000人のうち3割を今後10年間で「基礎定数」の中に組み込む計画が進みます。複数年度にわたる結核的な教員定数の改善は、実に16年ぶり。政府・与党は制度変更に向けた法改正を、20日召集の通常国会で行う方針です。

この見直しにより、通級指導は、教員1人が受け持つ児童・生徒数が従来の16人から13人へと手厚くなります。日本語教育では21人から18人に改善されます。

――なぜ改善を行うのですか。
浮島 発達障がいのある子どもや日本語教育を必要とする外国籍などの子どもの急増に制度が対応し切れず、各地で教員が著しく不足していたからです。

例えば、15年度に通級指導を受けた児童・生徒数は06年度の2倍を超える約9万人に上りました。しかし、希望しても通級指導が受けられない”待機児童”は少なくとも1万人はいるとの文部科学省の報告があります。今回の改善は、その解消への大きな前進です。

――公明党の取組みは。
浮島 公明党は教職員定数の大幅な増員を一貫して訴え、昨年9月に、党教育改革推進本部に「教職員定数の充実に関する検討小委員会」を設置。現場の教員や保護者らから実情を聞き、安倍晋三首相や麻生太郎財務相ら政府側に対して教員確保に向けた「基礎定数化」を提案しました。また同11月16日の衆院文科委員会では、富田茂之党文科部会長が、他党に先駆けて通級指導の”待機児童”の存在を取り上げ、改善を求めました。

しかし、17年度の予算編成では、財務省は「実現は難しい」との一点張り。政府・与党として一度は見送る方向へと傾きかけましたが、公明党が最後まで粘り強く主張し続けた結果、今回の改善が実現する運びとなったのです。