(長崎・五島市)地域調剤情報共有システム 市民の服薬を一元管理

2017(平成29)年1月19日(木)付

3割が登録 重複処方防ぐ

「患者がお薬手帳を忘れるなどして、どの薬局でどの薬が出ているか分からず、処方に困ることがよくあった」――。菅原会長はこう指摘する。

現在、同システムには、人口(3万8297人=昨年12月31日現在)の約3割に当たる1万1977人(6日現在)が登録している。市民への周知が進んだ背景には、同市が離島であることから、市民の約8割が市内の薬局を利用し、薬剤師と患者が顔の見える関係にあるからだ。出口課長は「各薬局と連携して、今後も、さらに登録者を増やしていきたい」と語る。

同システムは市内の全21調剤薬局が参画し、各薬局を結ぶネットワークを構築、市民に安全な調剤を行っている。また、市内の一人暮らしの高齢者の緊急連絡先や通院状況などの見守り情報を共有しているのも特徴の一つ。菅原会長は「救急現場では、救急車に搭載されているタブレット端末で、救命士はすぐに服用している薬の情報などを把握することができ、迅速かつ適切な対応を行える」と語る。

さらに、インフルエンザなどの感染症が発症した場合の情報発信にも取り組んでいる。発症の地域や年齢層など詳細な情報を素早く把握し、医療機関をはじめ、教育や社会福祉関係機関などに発信。学校や介護施設などでの集団発生の予防にもつなげられるという。

こうした利点がある一方で、同システムは調剤薬局だけのため、病院や診療所で処方される院内処方や、市外で診察や入院して処方された薬情報は共有できないのが課題だ。

菅原会長らは、今後、関係団体と協議を重ね、県内の医療機関の診療情報を共有している「あじさいネット」と連携し、薬局以外で処方された薬の情報も共有できる体制を構築していく考えだ。また、現在、訪問看護をはじめとする在宅医療での活用をめざし、関係団体と協議も進められている。

公明が導入推進

同システムは、衛生検査技師として五島中央病院で34年間勤務した経験がある、さがら市議が市議会定例議会で導入を訴えて実現。

さがら市議は「今後も、地域医療の充実に取り組み、島民の健康を守る政策を進めていく」と語っていた。

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