「ベーシック・サービス」で連帯の社会を

「ベーシック・サービス」

今日の公明新聞一面に掲載された井手英策先生のこの理論は今後、公明党の政策の「核」となっていくでしょう。

今回のコロナ禍で一律10万円の特別定額給付金が決定した際、公明党・山口代表がこれを政治からの「連帯のメッセージ」と発言しました。今日の井手先生のインタビュー記事にも「連帯」という言葉が大きく文字にされていますが、公明党がベーシック・サービスを政策の柱として掲げるべき理由がこの「連帯」にあります。

今年(令和2年)1月に行われた内閣府の「社会意識に関する世論調査」が公表されています。それによると、「社会の現状に対する認識」として「連帯感がある」としている割合は6.4%に留まっている一方で、「現在の世相」(マイナスイメージ)について「連帯感に乏しい」としているのは26.9%と、4人に1人の割合にあるという現状です。まさに今、多くの国民が「連帯」を求めています。

この連帯感がないことが租税意識の低さ、つまり税への拒否感に繋がっていると分析しているのが、東京大学名誉教授で経済学者の神野直彦先生です。(神野直彦先生は井手英策先生の師でもあります。)

神野直彦先生は先進各国の租税負担と経済的パフォーマンスを調査したうえで、『租税負担率が高いと格差や貧困を抑えることができ、経済成長すら可能になると表現してもいいすぎではな』く、『経済的要因だけでなく、社会的要因も考慮した幸福度という観点からみても、租税負担率が高いほうが幸福度が高い傾向があるとすら指摘できる』としています。

翻って日本の租税負担率はOECD加盟32カ国の中でも著しく低いのが現状です。それに対して『日本で租税負担が低い理由については、国民が政府を信用していない点が必ずあげられます。しかし、租税負担が高い国であるスウェーデンの世論調査をみても、国民は政府を信用しているわけではありません。重要な点は、国民同士がお互いに信じ合っているかどうかです。つまり、「私達」という仲間意識が存在して、「公」の意識が形成されているか否かが、決定的に重要なのだと思います』と論じています。

さらに『租税負担の高い国は、他の人々を信頼する国だということも読み取れ』るとの分析をする一方、日本社会では人を信用するよりも先に『子供の頃から競争原理を教え込まれ』てきたことで、『他の人びとへの不信感は形成されて』きたと指摘します。その結果『「私達」という仲間意識』が生まれず『「公」という認識』が形成されてこなかったことから、日本社会では『お互いに負担し合う租税意識が形成されず、租税負担は高まらない』と結論づけています。

(『』は「税金 常識のウソ」(神野直彦著・文春新書)より引用)

これは裏を返せば、税を通じて仲間や公の意識も形成できるということでもあります。

ベーシック・サービスは公明新聞の記事の中で述べられているように、「税」を財源とします。国民が税金を出し合うことによって支え合う社会をつくる、というのがベーシック・サービスの根底の考え方です。

今日の記事の最後に、井手先生は『これまでは、経済を成長させ、自分の力で稼ぎ、自己責任で生きていけたが、危機の時代は無理だ。社会全体が連帯する新たな仕組みが求められている』と述べています。

まさに「社会全体が連帯する新たな仕組み」をつくることこそが、今の政治に最も求められていると確信しています。その仕組みこそが「ベーシック・サービス」です。

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