「分断」をとめるための選挙制度改革を

私の座右の銘は「結合は善」。
いつもは表に出していないが、これには対称となる続きがある。
それは「分断は悪」という言葉だ。

我が国で「格差」についての新聞記事が増えだしたのは平成17(2005)年頃からとされる(参考)。
それが後に社会の「分断」へと繋がっていったのが平成という時代の日本の姿だろう。

今月、新たな元号「令和」を迎えた。
新しい時代として、政治は何をやらなければならないか。
それはまさに「分断」をとめることだ。

 

これまでの「平成」における、政治の一番大きな変化は小選挙区制の導入であろう。
平成6(1994)年の公職選挙法改正によって衆議院議員総選挙での小選挙区比例代表並立制が導入され、平成8(1996)年の総選挙で初めて実施された。

私は平成の時代に拡大してしまった分断の、大きな原因の一つはこの小選挙区制度にあったと考えている。

多くの人が指摘していることではあるが、小選挙区制度によって決定される各党の議席数は、実際の投票率とは大きくかけ離れるということが起こる。そのために政権交代が起きやすいことで、与野党で切磋琢磨し、緊張感をもつことで政治家と政策が磨かれ向上していくことを期待されたのが小選挙区制度であった。しかし現実にはそうならないばかりか、現実には民意を反映できない制度となってしまっている。

小選挙区の票数では比べるのが難しいので、分かりやすく比例代表の投票率で見てみるが、たとえば前回平成29(2017)年の衆議院議員総選挙での比例代表の投票率で議席数を配分すると次のような結果となる。(カッコは小選挙区を含んだ実際の獲得議席)

自由民主党 155(284)+129
立憲民主党 92(55)-37
希望の党 81(50)-31
公明党 58(29)-29
日本共産党 37(12)-25
社会民主党 8(2)-6
日本のこころ 1(0)-1
その他 5(22)+17

自由民主党の比例票獲得率は33.3%だが、全獲得議席は61.1%となった。また、野党第一党となった立憲民主党も、比例票獲得率は19.9%だが、実際の獲得議席率は11.8%と半減する結果だ。(ちなみに比例票獲得率の結果だけで示せば、与党である自由民主党と公明党が獲得した比例票は、全体の45.8%となり過半数ではないことも分かる。)比例票のみを民意を仮定した場合には、実際の議席割合と大きく離れてことが分かる。

慶應義塾大学法学部の小林良彰教授によれば、有権者が今の政治にどの程度満足しているかの調査では、『「かなり満足している」者は1%しかおらず、「やや満足している」の11%を足しても12%に過ぎない。一方、「かなり不満である」者が28%おり、「やや不満である」の26%を足すと54%と半数以上が政治に不満を抱いていることが分かる』との結果を示しているという。そして『その背景には、有権者の民意が正しく国会に反映されず、有権者が望むことが政治で行われず、望まないことが行われることがある。その原因は、何と言っても衆議院選挙における各政党に投じた有権者の民意(各党得票率)と結果(各党議席率)の間に大きな乖離が生じていることにある』と述べている。(「公明」161号(2019年5月号))

既存の政治に不満を募らせ失望した有権者が、より極端な主張をする政治に期待を向ける。そうしたポピュリストと言われる政治家の多くは、敵をつくることで自らの正当性を主張するという手法をとるが、それによって同調する有権者も排外主義へ進んでいってしまう。そんな構図が欧米の民主主義先進国と言われる国々で発生しているし、我が国でもそういった様相がいくつも見られる。

現行の小選挙区制度は、そうした有権者の不満と失望を解消し、民意を政治に反映できる制度ではないのは明らかだ。
「分断」を終わらせるための方法の一つとして、選挙制度はもう一度改革が必要な時期にきている。

 

(参考)日本社会における格差の広がりとその対策
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~tetsuta/jeps/no4/Kuramitsu.pdf

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