『健康で文化的な最低限度の生活』

「健康で文化的な最低限度の生活」

憲法第25条を冠したドラマが放映されています。私も”火曜夜9時”という時間帯にテレビの前にいるのはなかなか難しいのですが、録画しながら観ています。

ご覧になられている方の多くは、主人公である義経えみる(吉岡里帆)の活躍を応援する一方で、その上司である係長の京極大輝(田中圭)の冷酷さに腹立たしい思いを感じるのではないでしょうか。

私も日頃から市役所職員の対応に対して「融通がきかない」という声を聞くことがありますが、まさにドラマでの京極係長はその典型。決められたことに則って私情を挟まずに業務を遂行していきます。

ですが公務員の立場としては、この京極係長の態度が正解です。

決められたことを間違いなく遂行するのが、公務員の仕事です。制度がどれだけ理不尽であろうと、決定されたことであれば、それに従うことが公務員の立場です。それぞれの考えで融通をきかせてしまえば、制度が崩壊してしまいます。

制度を実行して、その結果が理不尽であれば、責めるべきは政治であり行政ではありません。それは認識してほしいと思います。

そうであるからこそ、その制度を市民、国民の生活の現実に即したものに変えていくのが、政治のもっとも重要な役割であり、使命です。

 

生活保護をテーマにしたドラマが放映されることは、その実態について理解が深まることを期待する一方で、このようなテーマがゴールデンタイムのドラマに選ばれることに、私は複雑な思いを感じています。

特に第2話から3話に繋がる、生活保護世帯の子どもがミュージシャンを夢見ながらもアルバイトで稼いだ収入が不正受給とされてしまう件については、私自身がプロミュージシャンを目指していたこともあって、身につまされました。

ドラマでも言及されているように、子どものアルバイト収入も、事前に申告していれば収入認定・・・つまり生活保護費から返還しなくてもいいという制度もあります。ですが、基本的には生活保護を受けている家庭で、何らかの収入があったときには、その分は生活保護費から削られます。このことが就労意欲を削ぐことに繋がっていることも事実だと思います。

私はベーシック・インカムの考え方を強く支持していますが、現実的には財源の問題を乗り越えることが大変難しい。

ですから、私は生活保護制度をベーシック・インカムに近づけていくことが現実的ではないかと考えています。

まずは親戚に対する扶養照会をやめること。これが生活保護申請を大きく妨げていることは間違いありません。この制度を廃止して、必要な方が生活保護にアクセスする壁をなくすことです。

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