大阪・箕面市 LPガスを利用した学校体育館のエアコン設置について(2019/07/01)

【日時】 令和元年7月1日(火)13:00~15:30
【視察先】 箕面市役所(大阪府箕面市西小路4-6-1)/市立箕面小学校(大阪府箕面市百楽荘1-8-7)
【視察者】 公明党立川市議団(門倉正子、瀬順弘、大沢純一)
【対応】 箕面市みどりまちづくり部建築室・室長 西田昭浩 氏/箕面市教育委員会 子ども未来創造局・学校施設管理室 中辻奈央 氏

 

視察では初めに、箕面市役所内で担当者より説明を聞いた。

箕面市には小中学校が全部で20校(小学校12校、中学校6校、小中一貫校2校)あり、平成29年度までに普通教室と特別教室の全室にエアコン設置が完了している。エアコンの空調方式は学校によってGHP(ガスヒートポンプエアコン)とEHP(電気エアコン)に分かれているが、これは学校に設置されているキュービクル(施設用の小規模変圧器)の容量に余力があるかどうかに依り、余力がなかった小学校を中心にGHP方式を採用した。一方で、箕面市では学校給食を全校自校式としているため、給食室を増設した際にキュービクルの電力容量を増やしたことで余力があった学校はEHP方式を採用したとのことであった。

このように、これまで箕面市は学校教室のエアコンにガス方式と電気方式の双方を採用してきた。そのうえで、小・中学校体育館へのエアコン設置では、あらためて「電気式」「ガスヒートポンプ(GHP)式」「輻射式」を、また燃料源としては「都市ガス」「LPガス」「電気」を比較検討した。
先ずは都市ガスとLPガスの比較であるが、災害時に配管が損傷して供給が行えなくなることがないこと、さらに災害時にも大阪府内の最寄り充填所から3日でガスの供給が可能であり、現地に3日分の蓄えがあれば非常の対応ができるということから、LPガスを優位とした。

さらに電気とLPガスの比較である。

設備の初期費用としては電気の方が安価であった。また、LPガスは設備が受注生産となるために、設置に時間を要するというデメリットもあった。
しかし、運用にかかる費用は電気の方が高くなることが判明した。これは電気には使用料のほかに「基本料金」が発生することが大きい。周知のように基本料金とは使っても使わなくても「基本的に」かかる料金で、エアコンの使用が比較的少ない季節(春や秋)でも一定の料金が発生する。これに引き換えLPガスには基本料金がなく使用料のみであり、ランニングコストとしてはLPガスが優位となった。設備費用(イニシャル・コスト)が電気方式を上回ったとしても、運用費用を含めた計算ではLPガスを採用することによって電気方式との設備費用の差額を8~10年で回収でき、運転期間として想定している15年間の積算費用では、LPガス方式の方が安いという計算となった。

上記のような費用計算とともに、災害時に早期供給が可能であるという理由から「LPガス対応のGHPと発電機」の採用に至った。

ただ、費用以外でもLPガス方式よりも電気式の方が優位である面もある。それは室外機の大きさで、GHP方式の室外機はEHP方式のものに比べ、およそ2倍の大きさとなる。そのために設置場所の広さが課題となる場合もあるようであった。

そうした設備設置に必要とされる場所の広さは、ガスの貯蔵方法でも課題となる。LPガスを使った災害対策の施設としては災害バルクが多機能で有用だが、箕面市では災害バルクは採用していない。その理由は設置スペースが広く必要なことに加え、ガスを充填する車両も大きくなり、設置場所によっては車両を近くに着けられないこと、さらにガス料金も高くなるということであった。そのため、箕面市ではLPガスの貯蔵にガスボンベを使っている。

上記のような理由で選定されたLPガスによるGHP方式のエアコンを、箕面市では小学校1校あたり6台、中学校1校あたり10台設置をしている。

設置の方法は「天井吊り型」と「床置き型」であり、状況に応じて体育館の高所通路(キャットウォーク)の幅が十分にある場合は「床置き型」とし、設置幅が足りない体育館では「天井吊り型」で設置をしている(費用は床置き型の方が安い)。また、エアコンに送風機を併用することで空調効率を高めている。ちなみにこの送風機は、担当職員の方が様々な方法を調査・研究(都内の自治体に視察を断られたことや、熊本県まで事例を視察に行ったりもしたという)をしながら設置したものであるが、後述するようにこれは大変効果的であった。これは担当職員の方の努力の賜物である。

質疑応答のなかで、立川市議会で行政側から示された、LPガスの危険性に対する懸念について聞いた。

これについて担当者からは、多くのタクシーがLPガスを燃料としたエンジンを採用しているが、それと同様のものが室外機のエンジンとして設置されていることの指摘があり、LPガスのタクシーが爆発したという事故を聞かないくらいの安全性があるという認識が示された。

市役所での説明の後、箕面市で最初に建てられた小学校である「市立箕面小学校」の体育館を視察した。

先ずLPガスボンベ庫を視察した。ここには常時50キログラムボンベが18本、合計900kgのガスが蓄えられており、使用メーターが回線で業者と繋がっているため、補充が必要になった場合でも学校側から連絡する必要がなく、業者が対応する仕組みとなっている。

そのガスボンベ庫に隣接する形で発電機を室外機が設置されている。ガスボンベと発電機を繋ぐ配管は地下で繋がっており、地震などで配管に損傷が及ぶことが100%ないとはいえないが、隣接していることで導線が短く、補修にあたっても損傷箇所の特定がしやすいとのことであった。

尚、ガスボンベ庫は特別奥まった場所にあるわけではないが、保護者などから危険性を心配する声があがったことはないという。

視察に訪れた日は気温26~27度、湿度70%ほどの曇り空で、蒸し暑い気候であった。その日はちょうど、民間業者による出張講座のようなものが行われており、体育館内には20人程の児童がいた。そのような状況下で稼働していたエアコンは、設定温度25度、風量「弱」で設定されていた。
体育館に入っての最初の感想は、湿気が感じられず、とても涼しいということであった。送風機は想像したよりも小型であったが、その効果は特に感じることができた。試みに送風機を、次にエアコンを切ってもらったが、それぞれ稼働しているときとしていないときの違いを明確に感じることができた。

箕面市では現在、授業として使う場合、その利用料金は市の教育委員会が負担をし(エアコンだけでなく、水光熱費は学校毎の負担ではなく、教育委員会が一括して負担しているとのこと)、地域の団体などが利用する場合は、小学校では1時間1,500円、中学校は同2,500円を徴収することとしている。その場合の利用はプリペイドカード方式で、利用者は教育委員会の窓口でカードを購入する。使用料が少し高いという声がないのか、と担当者に聞いたところ、ないわけではない、とのことであった。しかし、市内にある民間の運動施設でエアコンを使用した場合には、料金設定はおよそ倍であることから、そうした実態が分かるにつれて市民からの不満の声はなくなってきたそうである。

児童以外にもそのような形で日常的に市民が、体育館でエアコンを利用しているが、体育館内でエアコンによる風の流れが起こることにより、競技によってはそうした利用者から苦情があるのではないかと聞いたが、特にないという。例えばバトミントンの競技者からは、当然風の影響を受けてシャトルの動きが変わってしまうこともあるが、それも慣れで対処している、という声も紹介された。

肝心のエアコンの効き具合も聞いた。冷房の場合は稼働から30分ほどで、また暖房の場合は1時間ほどで効き始めるということで、利用者からもエアコンが効かないという声はないとのことであった。

さらに天井吊り型は据置き型に比べてメンテナンスが大変ではないかとの懸念も聞いたが、メンテナンスの中心であるフィルター掃除などは、天井吊り型でもフィルターが下まで降りてくる仕様になっており、据置き型と比べても特別大変ということではない、とのことであった。

【所感】

平成30年3月に学校体育館への設置が完了し、まず卒業式典で暖房の効果を実感したそうであるが、箕面市ではその直後、6月に大阪北部地震に見舞われることになる。箕面市では電気が止まり、隣の茨木市では都市ガスが止まったが、自立した供給源であるLPガスによって、箕面市の学校体育館では停電下でも問題なくエアコンが作動し、災害時の効果を実感したそうである。

今回視察したことで、あらためてLPガスの有用性とともに、懸念される安全性についても確認することができた。立川市議会で行政より示された懸念は概ね解消できるものであるといえる。

 

以上

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