【環境建設委員会】兵庫・神戸市 下水道ネットワーク(2017/10/10)

【日時】 平成29年10月10日(火)13:30~15:00
【視察先】 神戸市役所(神戸市中央区加納町6-5-1)
【視察者】 佐藤寿宏委員長、大沢純一副委員長、梅田春生委員、永元須摩子委員、福島正美委員、谷山きょう子委員、江口元気委員 全7名
【目的】 「災害に強い神戸市下水道ネットワークシステムについて」視察
【対応】 神戸市建設局下水道部計画課・計画係長 坂本憲治 氏 神戸市建設局下水道部計画課・岩出郁美 氏

【詳細報告】

神戸市の下水道整備は外国人居留地から始まり、古くは1872年(明治5年)の整備の記録が残る。
その後、人口増加とともにし尿処理が環境問題化するにともない、1951年(昭和26年)に市域の下水道整備に着手。特に1970年からの5年間で重点的な政策として整備が急速に進み、現在では汚水管全長が約4050km、雨水管は約650kmで普及率は98.7%に及んでいる。
尚、神戸市の下水道は平地である東灘処理区の一部を除いた全域で分流式となっている。

平成7年1月17日に起きた阪神・淡路大震災、兵庫県南部地震では、その影響で当時建設中の明石海峡大橋が当初の計画より橋長が1メートルも伸びたということだが、そのような大きな地盤の変化が起こるほどの震災で市民生活は大きな困難に見舞われた。
当時、神戸市の下水処理施設はそれぞれ単独で稼働していたため、一つが壊れると代わりがないという状況であった。
そのため、とくに市民生活においてトイレの問題が顕在化し、当時の新聞に「トイレもライフラインだった」との見出しが大きく載るほど、トイレ環境の重要性とともに、災害時の影響の深刻さが再認識される事態となった。

そうした経験を経て、市内4箇所の下水処理施設をネットワークで結び、災害に強い下水道とするとともに、日常的にも安定した処理能力を有するものにすることを神戸市では進めてきた。
これが「災害に強い神戸市下水道ネットワークシステム」である。

このシステムは、具体的には以下のようなものである。

神戸市の下水処理は自然勾配(傾斜)で汚水を流すという方式を取っている。
災害時に一つの処理場が使えなくなった場合や一時的に処理能力を上回る流入があった場合でも、下水道幹線の高低差を利用して他の処理場に汚水を送水することで、地上への溢水を防ぐことにしている。
また、そういった事態の際には、このネットワーク幹線を利用して他の処理場に汚水を送ることになるが、その場合には法定の範囲内で処理能力を落とし、時間あたりの処理量を増やすこととしている。
その結果、処理場ごとの容量は災害時を想定して平時に対してオーバースペックの規模のものを整備する必要はない。
また、1日の間で変動する汚水量に対して、従来の汚水管よりも太い管を整備してネットワーク幹線の中に貯めることで、処理場の能力を超えた下水の流入を防いでいる。

説明では処理場を繋ぐことで、一時的に下水処理を他の施設で行なうことができ、処理場の改修、改築なども比較的容易に行うことができるという利点も示された。
神戸市ではこうした取り組みのほか、処理された下水の有効活用も行っている。
その一つが兵庫区松本地区で歩道の設けられた「せせらぎ」である。
これは震災時にこの地域の消防水利が枯渇したという経験から、非常時の水源として利用を想定しながら、市民の憩いの環境ともなっているものである。

さらに震災時のトイレ確保の必要性の認識から、公共下水道を利用した仮設トイレの整備を進めている。

これは市内60校の公立学校で行われているもので、災害時に学校プールの水を洗浄水として利用し、その汚水を流す下水道を整備するというもの。
これは同じく大地震を経験した熊本市でも今後整備が進められるほか、国交省も推奨する事業である。
一方でこのネットワークについては、課題も示された。
神戸市の下水幹線の特徴として自然勾配を利用していることがあるが、特に長距離(8キロメートル)の幹線において勾配の関係から汚水の流速が遅く、この間に汚水の腐敗が進んでしまい硫化水素が発生するということがあるという。
この対策が今後必要とのことであった。

また、不明水の課題も言及された。

こうした処理場のネットワークは物理的な距離が課題であり、今後、神戸市ではそうした問題意識のもと、まちの機能を集約していくコンパクトシティに向けた取り組みも検討中であるということが最後に示された。

【所感】

最重要の生活インフラの一つである下水管と処理場の安定的な稼働は、行政の仕事の第一である。

立川市での下水処理は、これまでの市単独の処理から今後は東京都の下水処理場に移ることになるが、そのような広域での下水処理事業を見据えたときに今回の視察は大変参考になった。
とくに下水道という市民生活に大きな影響のあるインフラに対して、災害時の備えや想定については様々に見識を深めていくことが必要であると感じた。
こうした全国各地での事業などを、今後も積極的に学んでいきたい。

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