宮崎市の地域コミュニティ活動 「地域自治区制度による住民主体のまちづくりについて」 (2015/05/27)

【日時】平成27年5月27日(水)10:00~12:00

【訪問先】宮崎市役所(宮崎市橘通西1-1-1)

【視察者】公明党立川市議団(高口靖彦、瀬順弘、大沢純一)

【対応】宮崎市地域振興部 地域まちづくり推進室長・本村真二 氏/同推進室 主査・有馬隆博 氏/同推進室 主査・富正和 氏/地域振興部 地域コミュニティ課長・河野重臣 氏

 

【報告】

宮崎市市民の自治会加入率は56.9%で、これは九州のなかでも非常に低い値であるという。

これまで地域のまちづくりは、自治会をはじめPTA、子ども会、老人クラブ、婦人会などが「地縁団体」としてそれぞれ活動してきたが、なかでもその主体を担っていた自治会の加入率が上がらないことや、それに伴う地域の連帯感が希薄になってきていること。さらにマンションを中心とした新規住民のコミュニティが生まれにくいことなどから、各団体が独自に活動しているだけではこれからのまちづくりは困難であるとの判断から、平成18年1月より「地域自治区制度」を導入した。

現在は自治区として全市を21の地域に区割りしている。

この区割りは町名で分け、また自治会も割らないことを基本としているが、場合によっては自治会が2つの自治区にまたがるケースや、人口の偏りを調整するために町の一部を他地域に入れることもあるようだ。

また、自治区の規模も幅があり、規模の一番大きい区と小さい区で、人口で15倍(最大=57,439人、最小=3,779人)、また面積で180倍(最大=144.6㎢、最小=0.8㎢)という開きがある。

地域自治区の組織には「地域協議会」と「地域自治区事務所」がある。この2つの事務所はともに市役所業務の一部を担っているが、互いの関係はおおまかに議会と事務局の位置付けに似ている。

そしてこの「地域協議会」と自治会、PTAなどの各種団体、NPO団体、応募した地域住民などで構成された「地域まちづくり推進委員会」が連携して地域のまちづくりを行う、というのが「地域自治区制度」である。

この「地域協議会」と「地域まちづくり推進委員会」の関係は、議会と行政の関係に見立てると分かりやすいかもしれない。

地域まちづくり推進委員会が「事業計画」を作成し、地域協議会がその審査をする。その事業計画に基づいて、委員会が宮崎市に交付金の申請をする、ということになる。(尚、この自治区あるいは推進委員会について法人化されているわけではない。交付金はまちづくり推進委員会の事務局の銀行口座というものがあり、そこに入金されるという形をとっている。)

先述の通り、これは基礎自治体である宮崎市のなかに、文字通り自治行政体をつくるようなものである。合併を重ねたことによる行政面積の拡大や、人口密集地域と周辺部とで抱える課題が異なることなどから、各地域の課題は、そこに住む住民で主体的に執り行なってもらい、財政措置もする、というのがこの制度であり、この取り組みの先にはコミュニティビジネスの支援も行い、住民が自主財源を確保することも視野に入れている。

一方で、地域自治区の議会のような役割を担っている地域協議会は、まちづくり推進委員会が作成した計画の追認機関でしかない、というような批判や、担い手の固定化などが指摘されている。

さらに、自治会の加入率についてはこの制度のもとでも変化がないことから、この地域自治区というものの位置付け明確にし、住民に自治会加入を努力義務として提示するために、「地域まちづくり推進条例(仮称)」制定の議論に入っている。

 

【所感】

この制度をつくるにあたっては、自治体のなかにさらに同じような組織をつくることになることから、当初は議会のなかで、これまでの議会の役割はどうなるのか、といった議論もあったようである。

また『「地域協議会」と「地域まちづくり推進委員会」の関係は、議会と行政の関係に見立てると分かりやすい』と述べたが、その議会的な役割である地域協議会が地域まちづくり推進委員会の追認機関では、といった批判は、全国で聞かれる議会に対する市民の声にも重なる。

そのように、基礎自治体といわれるものの中にさらに同じような仕組みの自治区をつくるのがこの制度であるという感想を持った。

周辺自治体と合併をしてきた自治体が、そのなかで地域を分化して行政体のようなものをつくるという取り組みは、広域行政と基礎自治体のあり方を考えさせられるものでもあった。

住民主体のまちづくりというのは、立川市でもこれからの大きな課題である。今回視察した宮崎市の取り組みは、全国様々な自治体で試行錯誤されているものの一つではあるが、そのなかでもかなり踏み込んだ制度であると言える。

地域の自主財源づくりを一つの目標としているが、その取り組みも今後注視したい。

 

【宮崎市】(平成26年10月1日現在)
人口402,433人
世帯数176,993世帯
面積643.76㎢

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