憲法改正について

日本国憲法が施行70年を迎えた5月3日、安倍首相が憲法を改正し2020年の施行を目指すと発言しました。

憲法施行から70年を迎えた憲法記念日の3日、安倍総理大臣は、都内で開かれた憲法改正を目指す人たちの会合に寄せたビデオメッセージの中で、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、憲法を改正し、2020年の施行を目指す考えを示しました。

そして、安倍総理大臣は、具体的な改正項目として、「『9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む』という考え方は国民的な議論に値すると思う」と述べ、戦争の放棄などを定めた憲法9条に、自衛隊に関する条文を追加することをあげたほか、高等教育の無償化なども例示しました。

今後の憲法改正議論 公明党の動向も焦点の1つに(NHKニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170504/k10010970241000.html

公明党として憲法改正についてはこれまで「加憲」という立場を表明してきました。これは日本国憲法の三原則である「国民主権」「基本的人権の尊重」「恒久平和主義」を堅持したうえで、時代に合わない、あるいは憲法制定当時に想定されていなかった課題があるのであれば、現憲法に条項を付け加えるというものです。

憲法第9条についても必要があれば条項を付け加えるべきとの見解をとっています。しかし直ちに改正が必要であるという立場ではありません。

憲法9条については、自衛隊の存在や国際貢献などを明記すべきとの議論があります。公明党は戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めた9条の1項、2項は維持し、もし必要ならば新たな条文を追加するとの考え方です。ただし、昨年施行された平和安全法制によって、9条の下で日本を守るために必要な「自衛の措置」の範囲が明らかにされ、それによって当面の日本の安全は守られる体制が確保されました。また、自衛隊もすでに多くの国民から支持されており、当面の9条改正は必要ないと考えています。
(公明新聞5月1日付「施行70年 憲法とどう向き合うか/北側一雄公明党副代表に聞く」)

そのうえで持論になりますが、私は自衛隊の存在を憲法に明記することは必要だと考えます。

先の平和安全法制の議論で、アンケートに回答した憲法学者の9割以上が安保関連法案について「違憲」としたことが2015年7月11日付の朝日新聞で報道されました。しかし同じアンケートでは自衛隊についても6割以上が違憲としています。

(参考)安保法案学者アンケート
http://www.asahi.com/topics/word/安保法案学者アンケート.html

そもそも自衛隊を認めないのであれば、その行動の法制化も認められるわけはないでしょう。議論の前提が成り立っていないことが、議論が平行線をたどった大きな要因のひとつだったのではないでしょうか。

先の平和安全法制では集団的自衛権の行使について、憲法の範囲内で公明党がしっかり歯止めをかけたという自負はあります。学べば学ぶほど公明党の役割は大きかったと思います。ですので「昨年施行された平和安全法制によって、9条の下で日本を守るために必要な「自衛の措置」の範囲が明らかにされ、それによって当面の日本の安全は守られる体制が確保されました」というのは、その通りです。しかし一方で、その安全を守る自衛隊が「解釈」のもとにある事実は依然として変わっていません。

これまで長い間、自衛隊は憲法「解釈」のもとにその存在を位置づけられてきました。しかし、6割の学者が自衛隊を認めていないという憲法学の世界のように、解釈の問題で先に進めないことは決して健全ではありません。「自衛隊もすでに多くの国民から支持されて」いることは事実ですから、一般に解釈が常態化しているのであれば、明文化することも問題ないと考えます。

さらに今回、安倍首相はこの9条についても加憲の考え方での議論を提示しました。これについて5月3日の「第19回憲法フォーラム」シンポジウムに出席した遠山清彦衆議院議員(公明党)は、つぎのように述べました。

(安倍首相の発言について)公明党内ではこれから議論するが、自衛隊の皆さんは非常に重要な活動を国内外で行っている。きちんと(憲法に)明記していくという考え方は十分に理解できる。わが党の加憲アプローチに合う考え方であるということも留意したい。

公明・遠山清彦氏「首相の改憲メッセージは加憲アプローチに合う」 民間憲法臨調の公開フォーラム(1)(産経ニュース)
http://www.sankei.com/politics/news/170503/plt1705030085-n1.html

私もこの発言に賛成します。

 

 

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