【環境建設委員会】なごや生物多様性センター(2016/11/01)

【日時】 平成28年11月1日(月)10:00~12:00

【視察先】 なごや生物多様性センター(愛知県名古屋市天白区元八事5-230)

【視察者】 佐藤寿宏委員長、大沢純一副委員長、浅川修一委員、福島正美委員、谷山きょう子委員、江口元気委員 全6名

【目的】 環境建設委員会としてなごや生物多様性センターを行政視察

【対応】 名古屋市環境局環境企画部 主幹(生物多様性推進) 後藤仁美 氏/環境活動推進課・主査(生物多様性市民協働) 岩田信也 氏/環境活動推進課 橋本侑麿 氏

【報告】

2005年に愛知県内で日本国際博覧会「愛・地球博」が開催された。『人類の叡智』というテーマのもと環境を中心としたこの博覧会が契機となり、名古屋市内でも環境問題に対する機運が高まった。

さらに2010年にいわゆる名古屋議定書が採択された第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が開催されたことで、市民協働による自然や生物の保全活動を行う市民運動が活発化した。

そうした市民運動を支える施設として、今回視察したなごや生物多様性センターが翌2011年に開館。

立川市でも自然、環境分野の市民活動が多く行われていることから、今後の活動と協働を支える施策を研究するために視察を行った。

当施設はそれまで不燃ごみの中継施設であったものを改修・整備したものであり、年間の事業予算は4,000万円弱。内訳としては、その半分(約2,000万円)が嘱託職員(6名)の人件費であり、1,000万円弱がなごや生物多様性保全活動協議会への負担金等に充てられている。実質の運営費としては年間1,000万円程度であるという(平成27年度)。

なごや生物多様性保全活動協議会は、地域住民と市民団体、行政が協働で生物調査や保全活動を行うために設立されたものであるが、同センター内にその事務局が置かれ、センター長は協議会の幹事となっている。この協議会が市民運動を支える中心である。

さらに同センターの重要な役割として、市民参加による市内の生物に関する一斉調査がある。これは基礎自治体であるからこそ行える調査で、在来種と外来種の分布を詳細に追うものである。これによって、それまで未確認であった在来種の生物が発見されることも少なくないそうだが、その一方で毎回確認されるのは、多数の外来種の存在である。

多くはペットとして飼われていた魚や亀といった外来生物が、捨てられた先の環境で在来種を捕食するなどして繁殖しているという現状がある。

例えば池に住む在来魚がボウフラを食べることで安定していた生態系に、外来魚が放流されることで、在来魚が外来魚に食べられてしまう。その結果、ボウフラが増えて予期せぬ蚊の大量発生がおこってしまう、ということが起きているという。そのため、センターではこのような調査に留まらず、外来種の駆除も行っている。

そうした環境変化が起こることにより、名古屋市内では2015年の調査で絶滅危惧種とされる生物が389種にも及んでいる。これは「レッドデータブックなごや」として公表されているが、こうした普及啓発活動も同センターの事業である。

また専攻している地元学生とともに、資料としての標本作製等も行っている。

 

【所感】

「レッドデータブックなごや2015」のなかでも記述されているが、生きものの生息・生育状況というのはそれぞれの地域で異なり、日本全体では指定されていなくても、特定の地域ではある生物が絶滅危惧種という状況があるという。このことは同センターの担当者からも直接伺うことができた。それ故に、基礎自治体のような小さい単位での調査が今後ますます重要になってくるというのが担当者の見解であった。

自然保護とは環境の安定化と言い換えることもできよう。今後、住環境整備としての開発行為を行うなかで、どのようにしたら環境の安定を目指していけるのか。市民への啓発活動のあり方も含めて、立川市の自然環境を次の世代に引き継いでいくためには、今回視察したような調査・研究活動は大変重要であると感じた。

以上

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