兵庫県相生市 定住・子育て支援事業について (2016/01/21)

【日時】 平成28年1月21日(水)10:00~12:00

【訪問先】 相生市役所(兵庫県相生市旭一丁目1-3)

【視察者】 公明党立川市議団(高口靖彦、瀬順弘、大沢純一)

【対応】 相生市企画総務部・参事 中津尚 氏

【報告】

相生市は平成17年3月に財政危機を迎え、「相生市SOS宣言」を出すに至った。翌年度より始まった財政健全化計画の末、平成22年度には計画前の当初予算から約20%削減が達成された。

財政健全化と併せて市の将来を考えるなかで、「人口減少」ということが最重要課題との認識があがった。昭和49年をピークに減少を続けている同市人口の年齢構成で、特に年少人口(15歳未満)が県下で最下位、全国平均からも大きく下回っていることから、翌平成23年から始まった「第2期行政健全化計画」で、今回の視察事項である定住・子育て支援事業が開始されることとなった。

平成23年4月1日、相生市は「子育て応援都市宣言」を行う。これより「あれもこれも」というこれまでの総花的な行政運営から、「選択と集中」として“子育て世代をターゲットに定住促進を図る”ことに舵を切ることを運営の中心に据えた。

子育て施策を充実させることにより市外からの転入促進と市外への転出抑制を目指す事業は11項目に及び、「11の鍵」としてまとめられた。

同事業は一般会計上で主に教育費に含まれる。予算における教育費の割合は、平成27年度当初で24.5%であり、民生費(26.1%)と並んで同市の予算の柱となっているが、さらに注目すべきは前年度対比である。平成26年度は前年度比で72.5%、27年度は前年度比84.3%という、他の予算から突出して高い増加を示しており、こうした子育て施策にどれだけ注力していることが分かる。

一方で、こうした子育て・定住の取り組みについて、当初には市民から様々な反対意見があった。

「なせ子育て世代だけなのか」といった根本的なものから、「高齢者に対するサービスが後退するのでは」といった意見。さらに、「財政的に本当に続けられるのか」といった懸念も出された。

これに対して、市長が市民との対話集会(コスモストーク)を何度も開催し、理解を求めた。財政状況について丁寧に説明するとともに、特に高齢者には、高齢・福祉サービスは維持することを約束し、納得を得ながら事業が行われている。

相生市の子育てに対する取り組みは、当初の広告などでのPRとともに、現在は口コミで評判が広がっている。市民にも賛成の声が大きくなっている一方で、実際の定住人口増加に繋がっているのか、その効果はじつは判然としていない。「長期で取り組む必要がある」というのが行政の認識である。

【所感】

平成26年5月、日本創生会議・人口減少問題検討分科会が出した、いわゆる増田レポートの「消滅可能性都市」にこの相生市も含まれている。その大きな危機感の中で同市の定住促進事業が進められている。

現実には財政健全化計画のなかで、「もう削れるところはない」というくらい予算削減が行われている印象を受けた。市の説明では、あらたな施策を追加する余地がないなかでは、周知(PR)を継続していくことで事業効果を高めていくしかない、というのが今後の課題として示された。

地方の大変厳しい現実を見た思いであるが、反面、その現実が行政運営を選択と集中に向かわせ、強みのあるまちづくりを進めている。

立川市としても、こうした人口減少問題は他人事ではないにせよ、地方ほど緊迫した状況ではないのも事実であろう。だからこそ今のうちから、そうした立川としての特色をつくっていかなければならないし、相生市の教育費への注力と市民へ理解を求めていく姿勢は、大きく学ぶところがあった。

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