立川市営住宅の連帯保証人規則を改正 保証人要件を拡大

立川市の市営住宅を借りる際に必要な連帯保証人の規則が5月に改正され、本日7月1日より施行されました。

全国の自治体に県営住宅、市営住宅などの公営住宅があります。この多摩地域26市でも多くの自治体に市営住宅がありますが、入居する際に必要な連帯保証人の要件が以下のどれに当てはまらなくてはならないのかは、自治体によって規定が違います。
①市内
②東京都内
③東京都および近県
④日本国内

連帯保証人も市内に住んでいないと借りられない、という要件が大変厳しいところから、国内に住んでいれば構わない、とするところまで様々です。立川市は、これまで②と③の間のような規則でした。

立川市の規則(立川市営住宅条例施行規則)では、連帯保証人は「東京都内に住所又は勤務地」がある人に限られていました(第11条1項)。そのため、連帯保証人を頼める人がそれに当てはまらない場合は、これまで市営住宅に入りたくても入れませんでした。

私は平成27年3月の議会で、これについて質問。連帯保証人の要件を、せめて都営住宅並に「日本国内に住む者」とすることを主張し、今回の改正となりました。

公営住宅というのは、自力で住まいを確保することが困難な方の為のものです。そういった方は、もとより連帯保証人を探すのさえ難しいことが少なくありません。私は今後、この連帯保証人を必要とする要件の緩和自体が必要だと考えています。


平成27年第1回定例会(2015年3月16日) 議事録より

◆6番(大沢純一君)

次に、市営住宅を賃貸契約する際の連帯保証人についてお伺いいたします。

本市の市営住宅条例では、入居者が市と賃貸契約を結ぶ際の手続として、第11条で連帯保証人の必要性を述べており、市営住宅条例施行規則では、その連帯保証人を「東京都内に住所又は勤務場所を有する者であること」と、その11条に定めております。

本市市営住宅の設置は、公営住宅法を根拠としておりますが、その公営住宅法は、その目的を「国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること」としており、これは住生活基本法の第1条にも示されている目的、基本理念でもあります。

ここで、公営住宅を取り巻く法律について述べさせていただくと、その中心は住生活基本法です。これは、その法律の名のとおり、住宅政策の基本となる法律であることは御承知のとおりです。2005年9月に出された国の社会資本整備審議会の答申は、2006年の住生活基本法制定のもとになったものですが、その答申では、セーフティネットとしての公営住宅の役割を、
経済的又は社会的理由によって市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難な者の安定した居住を確保すること。
--としております。

そしてこの考えが、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティネット法として定められ、国及び地方公共団体に対して、住宅確保に配慮を必要とする人、住宅確保要配慮者については、公的賃貸住宅の適切な供給を促進し、居住の安定を図るよう求めております。

住生活基本法、公営住宅法、住宅セーフティネット法を通して求められる公営住宅の役割は、さきの答申に示された、民間の市場においては自力で住宅に入ることが困難な方の住宅であるということ、つまり民間の賃貸住宅はなかなか借りられない方、社会的理由とともに、多くは経済的理由で民間賃貸住宅の家賃を払うことが困難な方に対して、公営住宅がその受け皿となることを求めているわけです。

経済的困窮に至る経緯の中で、頼るべき身内、知人との関係が疎遠になることも多い。逆に言えば、頼るべき身内、知人と関係が疎遠になり、孤独になってしまったことが、経済的困窮に至る要因になってしまうこともあります。

その中で、本市が求めている連帯保証人は、「東京都内に住所又は勤務場所を有する者であること」と条件を東京都に限定している。申込者には、人間関係が希薄になっている方が少なからずいることも予想できますし、そうでなくても、東京都という範囲を限定されて連帯保証人を探すことは、民間賃貸住宅の賃貸契約でも難しいと思います。現に、本市市営住宅を申し込もうとする説明会の段階で、これを理由に断念される方もいるということを聞いております。

セーフティネットとしての役割が求められる本市公営住宅において、連帯保証人のこうした地域要件が定められている理由をお示しください。

また、連絡をとることが可能であれば、まずは都営住宅並みに、その要件を日本国内に在住の方にまで広げるべきと考えますが、見解を伺います。

◎市民生活部長(吉野晴彦君)

市営住宅の施行規則についてお答えします。

市営住宅入居時における連帯保証人につきましては、市営住宅条例第11条及び同条例施行規則により、1、東京都内に住所または勤務場所を有する者であること、2、独立の生計を営む者であること、3、確実な保証能力を有する者であることの三つの条件を満たすことが求められております。

都内在住、在勤を要件としましたのは、入居中における不慮の事故や病気の際、緊急連絡、また単身入居者の死亡時における財産管理等のため、連帯保証人の方に速やかに市に来ていただくことを意図したものでございます。

しかしながら、近年、公営住宅のセーフティネットとしての役割が求められ、また、応急時の市営住宅の活用なども発生する場合がございますので、御意見をいただいた点につきましては、東京都や他団体の状況などを調査した上で、住宅管理上の課題等も考慮しながら検討してまいりたいと思います。

以上です。

◆6番(大沢純一君)

市営住宅の連帯保証人についての見解を御答弁いただきました。前向きに御検討いただけるということで、ぜひ進めていただきたいというふうに思いますが、ここでさらに申し上げれば、住宅セーフティネット法がうたう公営住宅の役割は、多分に福祉的要素が強い。その視点から考えれば、そもそも連帯保証人が必要なのかどうかという議論にも行き着くと考えます。

例えば大阪市では、要綱に、
入居決定者の社会環境及び経済的事由により、親類や知人との交流が長年にわたり途絶えている者、保証人就任を拒否されている者、または配偶者からの暴力被害等の事情により市営住宅入居の事実を秘匿しておく必要がある者など、保証人を確保することが困難と認められる者で、かつ、自力での住宅確保が困難で特に居住の安定を図ることが必要な者については、福祉事務所などと緊急時等の連絡先が確保できる場合や、保証人でなくても、知人等を連絡人として確保できれば、保証人を必要としないことができる。
--としております。

また、北海道登別市の市営住宅条例では、「特別の事情があると認める者に対しては、連帯保証人を必要としない」としており、その免除取扱要綱の中で、65歳以上の世帯、障害者世帯、生活保護受給世帯、その他連帯保証人の確保が困難であると認められる者には、連帯保証人を免除することを定めております。

平成8年、当時の建設省が出した「公営住宅管理標準条例(案)について」という通達の中でも、公営住宅については、保証人をつけることを要件としなくても差し支えないとしており、こうした観点からも、本市における市営住宅の連帯保証人の今後のあり方については改正を要すると考えますが、改めて市のお考えをお示しください。

◎市民生活部長(吉野晴彦君)

市営住宅の連帯保証人の件でございますが、現条例上は連帯保証人がどうしても必要ということになっておりますので、そういう形になりますが、確かに福祉的な要素とかさまざまな課題が今ありますので、連帯保証人がなくて制度上の問題がないかどうか、住宅管理上の課題等がないかどうか、その辺を考慮しながら検討してまいりたいと思います。

以上です。

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です