月刊公明7月号『税を財源に実現する「頼り合える社会」』 井手英策・慶應義塾大学教授

井手英策先生の寄稿が月刊「公明」7 月号に掲載されました。同誌への掲載は 2013 年 11 月号以来じつに 7年ぶりです。

井手先生のこれまでの寄稿(今年 の月刊誌「潮」3 月号と2/29 付公明新聞「土曜特集」)は、自身の理論や質問に対する見解を述べるということが中心でした。今回の寄稿が特徴的なのは「公明党のビジョンを進化させるための鍵」として提言していることです。

特定の誰かではなく、すべての人たちを受益者にすることこそが、公明党の求める「全民衆の最大幸福」「個人の幸福と社会の繁栄の一致」を実現することになるのではないか。

そう井手先生は指摘し、そして党に対して問いかけます。『公明党が重視してきた「弱者の救済」を「万人の保障」に変えられるか』。

「万人の保障」の大きな鍵の一つが、支援に所得制限を設けないことです。

たとえば公明党が今回強く主張した「一律 10 万円給付」。所得制限なしで行ったこの事業は、僕は大きな社会体験だったと思っています。国民全員が 10 万円を受け取れたことで、高所得者層が受け取ることの批判もほとんどなく、これまでの支援で必ず出てきた「私だって苦しいのに」という声も叫ばれることはありませんでした。つまりサービスによる分断が生まれなかったということです。

裏を返せば、これまでの支援の仕方である「弱者」という線引きをした救済では、サービスを受けられた人と受けられない人の間での分断が避けられないということでもあります。

そうであるからこそ、井手先生は誰もが生きていくために必要とする支援に所得制限を設けないことを主張し、すべての人を保障する「ベーシック・サービス」論を展開しています。

ベーシック・サービスとは所得に関係なく受けられるものです。井手先生が昨年上梓された著書「いまこそ税と社会保障の話をしよう」の中にそれを表した一言があります。

『僕たちは所得ごときで人間の扱いを変えません』

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