エネルギーの分散化について

平成31年3月第一回定例会(2019/02/28) 議事録より

◆6番(大沢純一君)

公明党の大沢純一です。先日、2月20日、安倍晋三首相の連続在職日数が2,248日となり、吉田茂元首相と並んで、首相在職日数が歴代2位となったことが報道されました。

その在職スタートとなった2012年12月、前政権から交代し、再び自由民主党と公明党が連立で政権を担うことになりました。そのときに、連立政権合意として明文化した項目の第1が東日本大震災からの復興とともに、万全な防災・減災対策でありました。

その政権交代に先立ち、2012年9月に行った公明党全国大会で、私たちは党の重点政策として日本が目指すべき三つの新しい国の形を示し、その第1として、国民の命を守る防災・減災の国づくりを掲げました。その後も公明党は一貫して防災・減災を政策の中心に掲げてまいりました。

昨年、2018年9月30日に行われた第12回公明党全国大会においても、今後の政策目標として、「防災・減災・復興を政治の、社会の主流に」とのテーマを前面に示し、防災の党として国と地方が一体となった取り組みを前進させていくことを確認しました。

そうした防災・減災に対する取り組みを改めて強化するきっかけとなったのは、申し上げるまでもなく、2011年3月11日の東日本大震災です。それ以降、我が国では地震災害が頻発することになります。

2016年には熊本で4月14日と4月16日の両日に震度7の地震が発生しました。また昨年、2018年6月18日には震度6弱を記録した大阪北部地震が発生、同じく昨年、2018年9月6日、北海道胆振東部で震度7の地震が発生しました。この北海道厚真町を中心とした胆振東部では、今月21日にも震度6弱の余震と見られる地震が発生しております。

この北海道胆振東部地震では、我が国で初めて電力会社の全圏域が停電となる「ブラックアウト」と呼ばれる大規模停電が北海道で発生をしました。

このブラックアウトが発生した原因については、当初、苫東厚真火力発電所といった大規模電源に電力供給力が集中し過ぎたことによるのではないかという批判がありました。しかし、これについて第三者委員会の検証によると、北海道電力は、2011年3月の東日本大震災が発生した後、大型電力の脱落リスクにも備えて、供給力の分散化に積極的に取り組んできたことが確認され、北海道電力の電力供給体制や設備運用に不適切な点はなかったと結論づけています。

こうした報告を受け、2018年10月26日付の毎日新聞では、社説で、「今回のブラックアウトは人災ではなく、想定外の天災だったことになる」と述べており、その対策として、「中長期的には風力など再生可能エネルギーも含めて電源の供給構造を分散型に転換していくべきだ」としています。

ここで述べられたエネルギーの分散化は、災害対応を想定する上で非常に重要な課題です。

災害としては、近年、地震だけでなく風水害も多発しております。昨年9月30日から10月1日にかけて通過した台風24号で、本市でもさまざまな被害が発生したことは、まだ多くの市民の記憶に鮮明なところであると思います。

そういった台風や豪雨での被害が東日本大震災以降、毎年全国どこかで発生している状況であることも行政として十分認識をされていることと思いますが、そうしたさまざまな災害に備えての本市のエネルギー分散をどう考えているのか

まずは、発災時には最も被害が大きいことが予想される地震災害について、最悪の事態としてどれほどの被害を想定しているのか。その場合のライフラインである電気、ガス、水道の復旧にはどれくらいの期間がかかると想定しているのか。

また、そういった災害を想定したときに、エネルギーを分散化することが必要と考えますが、それについて認識を伺います。

◎市長(清水庄平君)

まず、エネルギーの分散化についての御質問でございますが、東京都防災会議において示された立川断層帯地震での被害想定では、建物被害が約7,900棟に及び、ライフラインの復旧は電力で7日、ガスでは60日、水道では30日かかると想定されております。

分散型でのエネルギー確保については、その必要性は認識しておりますが、LPガス災害バルク等の設備には、コストや設置場所、管理方法等に課題が残るため、引き続き検討していきたいと考えております。それでは、その他は担当から答弁をいたします。

◆6番(大沢純一君)

先ほど市長から答弁で言及されました立川断層帯地震での被害の想定ですけれども、ライフラインの復旧には電力が7日、ガス--この場合のガスというのは都市ガスであるというふうに認識をしておりますけれども、復旧には60日、水道が30日かかることが示されました。

最短である電力でも、状況によっては電気がつくようになるまで7日かかることになります。この間の生活をどうするのか。

さらに、エネルギー分散化に対する認識として、LPガスの災害対応バルクについても言及をいただきました。まさにこの後、そのLPガスの災害時の有用性についてお伝えをし、活用することを提案したいと思っております。

ここでスライドをごらんください。

2011年3月11日に発生した東日本大震災。これを受けまして、経済産業省が平成24年2月に「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に対する調査報告書」を出しました。

その中では、従来から、LPガスは災害に強いこと、さらに災害時における初期対応に適したエネルギーであるとの認識が示されております。

その上で、大災害が真冬でLPガスを多く必要とする時期、あるいはLPガスの利用者が少ない大都市で起こってしまったら、災害時に強いLPガスの供給が満足にできないことで被害や混乱が大規模かつ長期化して、復旧までに時間と費用が大きくかかる、こうした懸念が示されております。

その上で報告書としては、LPガスの平時からの備えを求めている、こういうことになっております。

この報告書の中で、東日本大震災のときの被災3県のインフラ復旧の推移が示されております。

3月11日に起きた東日本大震災では、LPガスが4月21日に復旧したのに対して、

都市ガスは5月3日。12日後の復旧、こういったことになっております。

同様のことは、昨年6月18日に発生しました大阪府北部地震でも見られました。このときのガスの復旧では、都市ガスが7日。

それに対し、LPガスは翌日には復旧しております。

こうしたことから、LPガスは、さきの報告書で示されたように、災害時における初期対応に適したエネルギーであることが認識いただけると思います。

こうした災害に対する認識のもと、真っ先に小中学校の体育館にエアコンを設置した行政として、大阪府の箕面市があります。

箕面市では、2018年3月、まさにこれ市長のリーダーシップであったわけですけれども、市内小中学校全20校の体育館にエアコンの設置を完了しました。設置に当たっては、その動力について、電気とガスの両方を検討したそうです。そして、検討の結果、ガスを採用しただけでなく、市内全域が都市ガス供給区域であるにもかかわらず、LPガスの利用を決定いたしました。

そして、その設置直後に起こったのが、6月の大阪北部地震であり、9月の台風21号の暴風雨でありました。

その際にこの体育館が避難所となり、エアコンが機能したことが報道されております。

 

スライドを終わります。

なお、さきの答弁では、LPガスを利用するに当たり、コストに対する懸念も言及されました。この箕面市でLPガスが採用された理由には、一つには、電気と都市ガス含めてイニシャルコストとランニングコストを検討した上での選定であり、もう一つは、BCP、つまり災害が起きても避難所としての機能を継続するという観点であったということです。

本市でも市内の小中学校は、ほとんどの教室でGHP、ガスヒートポンプ、これを使っておりまして、ガスの有用性というのは認識していただいていると思っております。

ここに、さらにLPガス利用のメリットとして、災害時の利用というものを考えてみたいと思います。

避難所の重要な役割の一つに食事がございます。食事の提供。いわゆる炊き出しなんですけれども、まず現状では、一次避難所で炊き出しを行う際にはどのような計画で行っているのか、これについてお示しください。

◎市民生活部長(井田光昭君)

本市の地域防災計画では、炊き出しは各一次避難所の避難所運営組織が実施することとなっております。また、そのサポートとして、学校給食共同調理場では、備蓄している食料を中心に給食班が炊き出しを実施することとなっており、必要な原材料や燃料等の備蓄品で不足するものは、避難所班が把握した上で物資調達班が調達し、配備することとなっております。以上です。

◆6番(大沢純一君)

避難所で運営組織の方々が備蓄品で炊き出しを行うことを中心で、それと並行して、学校給食共同調理場を使って食事をつくって、それを避難所にいる市民に提供する、こういったことになっているということです。

ここで、少し角度違うんですけれども、これから新設をずっと予定しております中学校の共同給食調理場。この計画にも、ぜひこのLPガスの視点、利用を検討していただきたいなというふうに思っております。

理由といたしまして、現在の学校給食の共同調理場、今あるものです。ここは都市ガスを利用している、こういったことになっておりますけれども、万が一、そのガス管が損傷をし、ガスの供給が断たれた場合でも、もう一つの共同調理場でLPガスを利用していれば、ここは稼働できる。これはまさにエネルギーの分散化によってリスクヘッジができるという、こういうことだというふうに考えておりますので、これはまたぜひ検討すべきだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

さらに伺いますが、避難所に発電機が今備蓄をされております。この発電機は、災害のときにどの程度の機能を持つのか、これについてお示しください。

◎市民生活部長(井田光昭君)

市内の小中学校等30カ所の一次避難所の防災備蓄倉庫に配備しておりますが、避難所1カ所当たりポータブル発電機1台。それと燃料となる混合ガソリン缶1リットル、投光器1台。また、それに加えまして、大規模改修が行われた五小、六小、八小、九小にはディーゼル発電機が各2台、その燃料となる軽油缶4リットル、ガソリン発電機が2台、その燃料となるガソリン缶4リットルを配備しておりますが、各避難所とも燃料は未使用のままとなっております。以上です。

◆6番(大沢純一君)

ちなみに、その発電機、どのくらいもつものなんでしょうか。最大の時間としては。

◎市民生活部長(井田光昭君)

ポータブル発電機に混合ガソリン1リットルを満タンにして投光器に接続した場合、約4時間の持続が限度であります。以上です。

◆6番(大沢純一君)

今現状の設備を伺いました。こうした避難所の機能、これを充足させるためにも、実はこのLPガスの利用というのが有用でありまして、そのための設備が冒頭市長からも御答弁でございました災害対応バルクとなるわけです。

スクリーンをごらんください。

災害対応バルクとは、このようなものであります。簡単に言えば、大きいLPガス容器に、災害時にガスコンロやガスストーブ、さらにこの後御紹介するようなガス発電機を接続できるものです。

こうした形でいろいろなものがありますけれども、現状、避難所での炊き出しでは、その燃料にまきを使うということだったというふうに認識をしております。

ただ、こういった災害対応バルクに対応する大型ガスコンロなどを備蓄品として用意して使えば、まきよりもはるかに手軽に調理が行える、こういったことにもなります。

そして、これが--まあ、これはそのうちの一つなんですけれども、ガスを使ったポータブル発電機。

LPガスの非常用発電設備が設置できれば一番望ましいわけですけれども、費用の面で難しいようであれば、一つの選択肢として十分検討できるものであると思います。まさにポータブルなものなんですけれども。

今御答弁ありましたとおり、現在備蓄をされている発電機は最大稼働時間が大体4時間ぐらいだというふうなことです。

このガスを使ったポータブル発電機、これをLPガスの缶につなぐわけですけれども、LPガス50キログラム容器。つまり、一般家庭で使われているLPガスの、いわゆるガスボンベです。あれ1本で約110時間稼働するという、こういったことが性能として示されています。

スクリーンを終わります。

北海道で起こったブラックアウトでも、電源がないということで携帯電話の充電ができないことが大きな問題となったことが報道されました。これは、単に電話ができない、インターネットで情報がとれないということにとどまらず、キャッシュレス化に伴い、特に若い世代を中心に利用されているスマートフォンでのクレジットカードや電子マネーの決済ができない、こういったことも起こったわけです。これによって、公共交通にも乗れない、こういった事態にもなりました。

発電環境の整備は、特にそういった部分でも重要です。こうしたことからも、避難所でのLPガスの利用は有用性が大変に高い、こういったことを申し上げたいと思います。

これまでさまざま災害時のLPガス利用について提案してまいりましたけれども、本市の地域防災計画でも、このLPガスについて言及をされております

地域防災計画、270ページを超す多岐にわたる計画ではありますが、LPガスについては、わずか6行示されています。

その中で、
震災により都市ガス施設に被害が生じた場合、東京都と一般社団法人東京都LPガス協会が協力し、避難所等にLPガスを救援物資として供給するよう努める。
--との一文があります。

この一文で示される計画としましては、立川市が東京都に連絡をし、東京都が東京都LPガス協会に協力を要請すると。その後、東京都LPガス協会が地元である立川市の事業者と連絡をとり、救援対応をする、こういうことになろうかというふうに思います。

そうであるならば、日ごろから、地元のLPガス協会、立川市の場合は東京都LPガス協会多摩西部地区の立川部会という、こういったくくりになるわけですけれども、その立川部会と平時から協定を結ぶ、地元でしっかり協定を結ぶべきだと、こういうふうに考えますが、それについて見解をお示しください。

◎市民生活部長(井田光昭君)

現在、一般社団法人東京都LPガス協会多摩西部地区立川部会と協定締結に向けての調整を行っているところでございます。以上です。

◆6番(大沢純一君)

ぜひよろしくお願いいたします。

この質問の最後に申し上げますけれども、冒頭の御答弁にございました、災害時のLPガス利用について、特に今後計画を立てます小中学校の体育館へのエアコン設置を進めるに当たっては、コストや設置場所、管理方法等の課題をしっかり整理し、比較していただき、さらにBCPの視点もあわせて検討されることを要望したいと思います。

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