柏の葉スマートシティ(2017/04/13)

 

【日時】 平成29年4月13日(木)13:30~15:00
【視察先】 柏の葉スマートシティ(千葉県柏市若柴178)
【視察者】 大沢純一
【目的】 まちづくりについての調査研究
【対応】 三井不動産株式会社 柏の葉街づくり推進部事業グループ 濱記代子 氏

【報告】

IT技術で街全体の電力供給を調整するスマートグリッドを日本で最初に実用化した「柏の葉スマートシティ」を視察。

ここでの電力は、平時には商業施設「ららぽーと柏の葉」の他、街区オフィスやホテルに供給されるが、災害時には集合住宅街区(一番街977戸、二番街880戸)の共用設備にも供給を行えるようになっている。

街全体の公共空間のデザイン及びマネジメントは地域産官学で構成されたUDCKという組織が担っている。公道においても柏市とともにUDCKが管理しているため、ベンチや樹木の設置なども柔軟に行うことができる。

ゴルフ場跡地を含む273万平方メートルという広大な土地を活用したこのプロジェクトは三井不動産によって進められているが、計画的なまちづくりは洗礼された「次世代の環境」という印象で、「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」というまちづくりのコンセプトを強く感じる。

 

たとえば「新産業創造」ということでは、コワーキングスペースから専用オフィスまでが用意された「31VENTURES KOIL」というスペースが、都心と比べて手頃な料金で利用できる。ここではその環境から異業種交流が日常的に行われているということである。それに加え、3Dプリンターやレーザーカッターなどが自由に使える「KOILファクトリー」という施設も用意されており、発想をすぐに形にできる環境も整えられている。

 

 

 

また、事業が拡大していったときにコワーキングスペースから移るための個室オフィスも用意されており、将来のステップアップを目指す動機づけにもなっているようであった。

 

 

 

 

 

 

 

さらに「健康長寿都市」としての環境も興味深いものがあった。施設内で健康・医療施設となっているワンフロアがあり、その中心が「まちの健康研究所 あ・し・た」という健康・医療の情報発信や、利用者の健康管理を無料で行う施設である。ここでは体組成計での無料計測なども行えるが、働いている人は地域のボランティアだそうだ。

 

 

 

 

同フロアでは子どもが怖がることのないように工夫を凝らした歯科クリニックも目を引いた。

 

 

 

 

 

【所感】

この施設の中核であるスマートグリッドについては、大企業のプロジェクトというような位置づけでない限り、一自治体での実行は困難であると思われるが、それ以外のまちづくりという面では参考になった。

どのように人を集めるかというのが地方創生であるが、新しい仕事をどう生み出し、継続できるようにするかということが中心のひとつだ。今回の視察でそういった環境、基盤を整えていくことが人を集めることに大きく繋がっていくことを強く感じた。

さらに、集まった人を定住に繋げていくのは教育と健康がキーワードとなる。そういった意味では理想的なコンパクトシティが、この柏の葉ではないだろうか。

今後の取り組みを注視したい。

以上

 

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2017年4月13日